「クエチアピンを呑むと眠気が強く出ない?」
「クエチアピンは体重が増えるって本当?」
「クエチアピンを長く飲み続けて大丈夫?」
このように感じる方に向けて、本記事では、日々精神科の患者さまの服薬指導を行なっているはなせる薬局薬剤師が、服用方法・副作用なども分かりやすく説明します。
本記事を読んだ方にクエチアピンについて知ってもらうことで、理解しながら安心して治療を受けるための一歩となれば幸いです。
クエチアピン(セロクエル・ビプレッソ)とは

出典:ニプロ
クエチアピンは、脳内の受容体※(ドパミン、セロトニンなど)に作用し、強い不安感や緊張感、意欲の低下などの症状を改善することが期待されています。
一方で、服用中は眠気が出ることがあるため、車の運転など危険を伴う作業は避けましょう。服用期間中は急にお薬を減らしたり中止したりすると、不眠や吐き気などが出る場合もあるので、変更は医師の指示に沿って進めるようにしましょう。
なお、クエチアピンの先発医薬品にはセロクエルとビプレッソがあります。
※受容体:体内で特定の物質(神経伝達物質など)を受け取って反応する「受け皿」のような部分
クエチアピン(セロクエル・ビプレッソ)に期待できる効果
ここでは、クエチアピンに期待できる効果について解説します。
統合失調症の症状を改善する
クエチアピンは、統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬です。脳内のドパミンだけでなくセロトニンなど、さまざまな受容体にバランスよく作用するのが特徴です。
この幅広い働きによって、幻覚や妄想、思考の混乱といったつらさを和らげることが期待されます。臨床試験においても、多くの患者さんで上記のような症状の改善が認められています。
クエチアピン(セロクエル・ビプレッソ)の基本的な飲み方
クエチアピンの基本的な飲み方として、服用頻度やタイミングなどを紹介します。
通常は医師の指示に従い1日2回または3回に分けて服用する
クエチアピンは、通常、成人ではクエチアピンとして1回25mgから始め、1日2回または3回に分けて服用します。
その後は、年齢や症状によって量は調整されますが、通常の1日量は150〜600mgを目安に、同じく2回または3回に分けて飲む形となります。
はなせる薬局 薬剤師飲み忘れや中断が心配でも自己判断で増減せず、指示通り服用するようにしましょう。
クエチアピン(セロクエル・ビプレッソ)を飲み忘れたときの対処法
薬を飲み忘れてしまったときは、気づいた時点でできるだけ早く1回分を飲んでください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分は飲まずに、いつもの時間から服用を再開しましょう。このとき、2回分を一度に飲むことは絶対にしないでください。 副作用が強く出るおそれがあります。
飲み忘れは誰にでも起こることです。気になるときや判断に迷うときは、遠慮なく主治医や薬剤師に相談してください。言いにくいことでも話していただくことで、安全に治療を続けやすくなります。
クエチアピン(セロクエル・ビプレッソ)の副作用【不眠・体重増加・便秘など】
クエチアピンの副作用は、以下の表のとおりです。
| 生じる恐れがある副作用 | 症状の特徴 |
| 不眠・傾眠・だるさ | 朝になっても強い眠気や全身のだるさが続き、集中しづらくなる |
| めまい・ふらつき(起立性低血圧) | 立ち上がったときにクラッとしやすく、転倒しそうになる |
| 体重増加・食欲増加 | 食欲が増え、短期間で体重が増えて服がきつくなる |
| 口渇・便秘 | 口やのどの渇き、便が出にくい |
| 血糖値上昇・糖尿病の悪化 | 口渇、多飲、多尿、頻尿などがみられることがある |
| 低血糖 | 脱力感、倦怠感、冷汗、ふるえ、強い眠気、意識がぼんやりなどに注意 |
| 脂質異常症 | 自覚症状に乏しいが、検査で脂質(中性脂肪・コレステロール)が高くなる |
| 錐体外路症状※稀に発生するリスクあり | 手のふるえ、筋肉のこわばり、動かしにくさ・歩きにくさが出る |
| 悪性症候群※稀に発生するリスクあり | 高熱、全身の強いこわばり、大量の汗、意識がぼんやりするなどの緊急症状 |
以上の副作用はすべてを記載したものではありません。上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に相談してください。
クエチアピン(セロクエル・ビプレッソ)に関する注意点
クエチアピンを服用する際には、押さえるべき注意点があります。詳しく解説するので、理解しておきましょう。
アルコールとの併用は避け飲酒する場合は医師に相談する
クエチアピンを服用中は、アルコールとの併用に注意が必要です。アルコールとの併用により中枢神経を抑える作用が強まることがあるため、症状や体質を見ながら慎重に対応する必要があります。
クエチアピンは、もともと脳の働きをゆるやかに抑える作用がある薬で、服用中は眠気や注意力・集中力・反射運動能力の低下が起こることがあります。
その状態でアルコールを飲むと、副作用がより強く出やすくなります。
はなせる薬局 薬剤師そのため、服用中の飲酒はできるだけ控えることが望ましく、どうしても飲みたい場面がある場合には、自己判断せずに医師や薬剤師に相談しましょう。
車の運転や危険を伴う作業は控える
クエチアピンは中枢神経系に作用する薬のため、服用すると眠気が出たり、注意力や集中力、反射運動能力が低下したりすることがあります。そのため、服用中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作は控えましょう。
特に飲み始めや量を増やした時期は、体が慣れていないぶん影響を感じやすい場合があります。
立ちくらみが生じるリスクがあるため転倒に注意
クエチアピンの副作用として、起立性低血圧※がみられることがあり、立ち上がったときにふらつきやめまいを感じる場合があります。転倒には注意しましょう。
特に起床直後や夜間のトイレなどは足元が不安定になりやすいので、いったん座ってからゆっくり立つようにすると安心です。
高齢の方では体内で薬の濃度が比較的長く残りやすく、起立性低血圧が起こる頻度が増える傾向が報告されているため、段差や滑りやすい場所はできるだけ避け、手すりや明かりを活用することを推奨いたします。
※起立性低血圧:立ち上がったときに血圧が下がり、めまいやふらつきが起こる状態
体重や血糖値の変化に気をつける
クエチアピンは、服用中に体重が増えたり、血糖値が上がることがあります。コレステロールや中性脂肪が高くなるなど代謝の変化にも注意が必要です。投与中は血糖値の測定など十分な観察を行うこととされています。
もし、喉が乾く・トイレに行く回数が増えるといった変化に気づいたら、自己判断で放置せず早めに医師へ相談してください。
はなせる薬局 薬剤師さらに、無理のない範囲で定期的に体重測定をして、必要に応じて血液検査も受けると安心でしょう。
服用量の増減や中止は必ず医師と相談する
クエチアピンは、症状や体調を見ながら医師が用量を調整していく薬です。通常は少量から始めて、状態に応じて徐々に増やします。
効き目が弱いと感じても、自己判断で増やすと眠気やふらつきなどが強く出ることがあるため注意しましょう。減量や中止も同様で、急に量を減らしたりやめたりすると、不眠・悪心・頭痛・下痢・嘔吐などの離脱症状があらわれることがあります。
変更が必要なときは受診して相談し、医師の指示のもとで少しずつ進めることが大切です。
クエチアピン(セロクエル・ビプレッソ)を服用できない方
クエチアピンを服用できない方の目安は、以下のとおりです。あてはまる場合は自己判断で服用せず、必ず医師に相談しましょう。
【禁忌(服用してはいけない方)】
・昏睡状態にある方
・バルビツール酸誘導体など、中枢神経を強く抑える薬の影響下にある方
・アドレナリンを投与中の方(救急治療や歯科麻酔で使用する場合を除く)
・クエチアピンの成分に対して過敏症の既往がある方
・糖尿病のある方、または糖尿病の既往がある方
【医師の判断で注意が必要な方】
・心臓や脳の血管の病気がある方、低血圧がある方
・てんかんなど、けいれん発作の既往がある方
・不整脈やQT延長を指摘されたことがある方
・肝機能障害のある方や高齢の方
・妊娠中、授乳中、または妊娠を希望している方
・ほかの精神薬や睡眠薬、抗不安薬などを服用している方
・市販薬やサプリメントを含め、複数の薬を使用している方
上記に該当する場合でも、症状や体調によっては使用できるケースがあります。安全に治療を進めるためにも、服用前に必ず医師へ相談してください。
クエチアピン(セロクエル・ビプレッソ)に関するよくある質問
ここでは、クエチアピンに関するよくある質問に回答します。理解しておくことで、安心した状態でクエチアピンを服用できるでしょう。
クエチアピンの服用を始めてからどれくらいで効果があらわれる?
クエチアピンを飲み始めてから効果を実感するまでには個人差があります。
しかし、一般的には、効果の実感までに数日から数週間かかるとされています。幻覚や妄想、考えのまとまりにくさ、興奮しやすさなどの症状の改善は、少しずつ進んでいくとされています。
※実際に、臨床試験では8週間投与して評価されています。
はなせる薬局 薬剤師すぐに効果を実感できなくても、焦らずに服用を続けて様子を見ていきましょう。
クエチアピンの服用中、眠気が強いときはどうすればいい?
クエチアピンは主として中枢神経系に作用するため、眠気が出たり、注意力や集中力、反射運動能力が低下したりすることがあります。
生活に支障が出る場合は我慢せず、用量の調整や飲むタイミングについて医師に相談してください。ほかの薬との飲み合わせも影響することがあるので、併用中の薬は受診時にまとめて伝えると安心です。
クエチアピンに依存性はある?
クエチアピンは、アルコールや一部の睡眠薬のように、強い身体的依存が問題になる薬ではありません。ただし、服用を急にやめたり量を大きく減らしたりすると、不眠や不安、吐き気、頭痛などの体調変化があらわれることがあります。
そのため「飲まないと調子が悪くなる」と感じ、心理的に頼ってしまうケースは考えられます。症状が落ち着いてきた場合でも、自己判断で中止するのは避けましょう。
クエチアピンと他の薬と併用しても大丈夫?
クエチアピンは、抗うつ薬や気分安定薬、睡眠薬などと一緒に処方されることもあり、併用自体は珍しくありません。
ただし、これらの薬も脳の働きを穏やかにする作用があるものが多く、一緒に飲むと眠気やふらつき、注意力の低下が強く出ることがあります。これは薬同士の中枢神経抑制作用※が重なるためです。
また、アルコールも中枢神経を抑える作用があり、クエチアピンの影響を強めやすいため、基本的には控えるのが安全です。 どうしても飲む予定があるときは、自己判断せずに医師や薬剤師にご相談ください。
はなせる薬局 薬剤師処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含めて、今飲んでいるものはすべて医師・薬剤師に伝えましょう。
※中枢神経抑制作用:※脳の働きを抑える作用で、眠気や注意力の低下、反応の遅れなどが起こることがある
クエチアピンに依存性はありますか?
クエチアピンは、いわゆる依存を目的に使う薬ではありません。ただし、急に量を減らしたり自己判断で中止したりすると、不眠、吐き気、頭痛、下痢、嘔吐などの離脱症状が出ることがあります。
そのため、依存性が強い薬と単純に言うより、やめ方に注意が必要な薬と考えるのが実際に近いです。続けるのが不安なときも、ひとりで抱え込まず、医師と相談しながら少しずつ調整していくことが大切です。
クエチアピンを飲むと太ることはありますか?
クエチアピンでは、体重増加がみられることがあります。ただ、すべての人に同じように起こるわけではなく、体重減少がみられる場合もあります。
体重や食欲の変化が気になるときは、責める必要はありません。早めに医師や薬剤師へ伝えることで、食事や生活面を含めて無理のない対応を考えやすくなります。
クエチアピンは朝と夜のどちらに飲むことが多いですか?
クエチアピンは、通常は1日2回または3回に分けて飲む薬です。朝か夜かを一律に決めるものではなく、症状、眠気の出やすさ、生活リズムなどをふまえて医師が調整します。
服用初期には眠気や注意力の低下、立ちくらみが起こることもあるため、飲む時間は人によって合う形が異なります。
はなせる薬局 薬剤師気になる方は、医師や看護師に相談してくださいね。
まとめ|クエチアピン(セロクエル・ビプレッソ)について正しく理解しよう
クエチアピンは、統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬で、強い不安感や緊張感、意欲の低下などの症状を改善することが期待されています。服用は少量から始め、通常は1日2回または3回に分けて飲み、症状に応じて医師が量を調整します。
眠気や注意力の低下、立ちくらみなどが出ることもあるため、運転や危険な作業は控えてください。体重や血糖、脂質の変化に気づいたら早めに受診し、自己判断で増減や中止をしないことが大切です。
ぜひ、本記事の内容を参考にして、クエチアピンについての理解を深めてみてください。
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