「イライラ・不安定さが続く…」
「更年期や月経まわりの不調がつらい…」
このような悩みに使われる漢方薬はいくつかあり、加味逍遙散はその中でもストレスやホルモンバランスの影響で気分が揺れやすく、冷え・肩こりなどの身体症状も出やすいタイプのときに選ばれることがあります。なお、漢方薬には番号が割り振られており、加味逍遙散は24番です。
漢方は体質や生活習慣によって合う・合わないが出やすく、自己判断での変更は注意が必要です。この記事では、加味逍遙散に期待できる効果や基本的な飲み方、生じることのある副作用などを分かりやすく説明します。ぜひ読んでみてくださいね。
加味逍遙散とは

出典:ツムラ
加味逍遙散は、柴胡や芍薬など複数の生薬から作られる漢方で、医療用では「エキス顆粒」※として処方されます。
※エキス顆粒:漢方薬に含まれる生薬を煎じて成分を取り出してエキス化し、飲みやすいよう顆粒状にした剤形のこと
肩こりや疲れやすさ・気持ちが落ち着かないと感じる方に用いられ、冷え症、月経不順や月経困難、更年期障害、血の道症などに効果が期待できます。
医療機関で処方される加味逍遙散には、「ツムラ加味逍遙散エキス顆粒(医療用)」などがあります。日本では、同じ処方名の医療用漢方製剤が複数のメーカーから販売されています。なお、漢方製剤・生薬では、一般的な医薬品のような「先発医薬品」「後発医薬品」という区別はありません。
はなせる薬局 薬剤師同じ処方名の製剤はメーカー違いで複数あるため、処方される製剤について気になることがある場合は医師や薬剤師に相談すると安心です。
なお、『加味逍遙散』という名は、気分をのびやかに巡らせる基本処方『逍遙散』に、生薬を“加味”して働きを調えたことを表す処方名です。
加味逍遙散に期待できる効果
加味逍遙散に期待できる効果を5つご紹介いたします。どんなお薬か理解を深めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
精神不安やイライラなどの精神神経症状の改善に役立つ
加味逍遙散は、肩こりや疲れやすい方にみられる精神不安などの精神神経症状に用いられます。
気分の波やイライラ、不安感が続くときに、心身のバランスを整える目的で処方されることがあります。服用を続けることで、些細なことで不安になりにくくなったり、イライラが和らいで気持ちに余裕が出てきたりといった変化を感じる方もいます。
ただし、効き方には個人差があり、すぐに変化を感じない場合もあります。辛さが強いときは無理をせず、医師や薬剤師に相談しながら進めましょう。
更年期障害に伴う不調を改善する
更年期障害は、ほてりや冷え、だるさ、気分の落ち込みなど、心と体の不調が重なりやすい時期に起こります。
加味逍遙散は、更年期障害の症状に用いられるお薬です。ストレスに伴う変化などを和らげる可能性が示されています。無理に我慢せず、体調の変化を見ながら使うことが大切です。
月経不順・月経困難症を和らげる
月経不順や月経困難は、痛みだけでなく、だるさや気分の不安定さを伴うことも珍しくありません。加味逍遙散は、月経不順や月経困難に用いられます。
はなせる薬局 薬剤師また、便秘がちになることがある方にも使われることがあります。症状の出方は人それぞれなので、服用を続けても改善がはっきりしない場合は、飲み続けず受診して先生に相談するようにしましょう。
血の道症に用いられる
血の道症は、月経や出産、更年期などの時期に、ホルモンの変化や疲れが重なって心身の不調が出やすい状態を指して使われます。加味逍遙散は疲れやすく、肩こりがあり、気持ちが不安定になりやすい方の血の道症に用いられます。
原因を1つに決めにくい不調にも使われるため、体調の変化を丁寧に見ながら服用することが大切です。辛さが強いときは一人で抱え込まず、早めに相談してください。
冷え症や肩こりなどの身体症状を改善する
加味逍遙散は、冷え症や肩こりといった身体症状にも用いられます。疲れやすく、体調の変化を感じやすい方、肩がこり、疲れやすい方にみられる冷え症が対象とされています。
冷えやこりが続くと、眠りが浅くなったり気分が落ち込みやすくなったりすることもあるため、体のサインを整える目的で処方されることがあります。
加味逍遙散の基本的な飲み方・用法・用量
ここでは、加味逍遙散の基本的な飲み方を紹介します。服用量や頻度などを詳しく解説していきます。
1日あたりの服用量は年齢や体重、症状の程度によって異なる
加味逍遙散の服用量は年齢や体重、症状の程度などによって調整されます。そのため、自己判断で量を増やしたり減らしたりするのは避けるようにしましょう。
漢方薬は、その人の体質や不調の出方に合わせて使われるお薬であるため、飲み始めたあとも体調の変化を見ながら続けることが大切です。
はなせる薬局 薬剤師改善が感じられない場合や、違和感が出たときは、無理に続けず医師や薬剤師に相談しましょう。
1日2〜3回に分けて加味逍遙散を服用するのが一般的
加味逍遙散は、1日の量を2〜3回に分けて服用するのが一般的です。1回でまとめて飲むよりも、回数を分けることで効果が続きやすくなります。また、飲む時間を決めておくと、服用を習慣にしやすく、飲み忘れにも気づきやすくなるでしょう。
もし飲み忘れた場合でも、次の分でまとめて飲む必要はありません。気づいた時点で1回分を飲むか、次の服用時間まで待つなど、無理のない方法で続けましょう。
食前または食間に加味逍遙散を服用することが多い
加味逍遙散は、食前または食間に服用することが多いお薬です。食間とは食事中のことではなく、食後しばらく時間がたって胃の中が落ち着いた状態を指します。
ただし、胃が弱い方では、胃の不快感や食欲の低下を感じることもあります。そのような場合は我慢せず、服用のタイミングを含めて医師や薬剤師に相談すると安心です。
加味逍遙散を飲み忘れた時の対処法
加味逍遙散を飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用することが多いですが、次の服用時間が近いときは無理に重ねて飲まないようにします。2回分をまとめて飲むと、体への負担につながる可能性があります。
飲み忘れが続くと効果の実感にも影響することがあるため、できる範囲で同じ時間帯に飲む習慣をつけると安心です。
もし頻繁に忘れてしまう場合や、どう対応すべきか迷うときは、無理に自己判断せず、薬剤師や医師に相談しながら続けると落ち着いて使いやすくなります。
加味逍遙散の副作用【発疹・かゆみ等】
加味逍遙散の主な副作用は、以下の通りです。
| 生じる恐れがある副作用 | 症状の特徴 |
| 発疹・発赤・かゆみ | 皮膚に赤みやかゆみ、発疹があらわれることがある。 |
| 消化器症状 | 食欲不振、胃の不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢などがあらわれることがある。 |
| 偽アルドステロン症(まれ) | 低カリウム血症に伴い、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、むくみ、体重増加などがあらわれることがある。 |
| ミオパチー(まれ) | 低カリウム血症の結果として、脱力感、四肢のけいれん、麻痺などがあらわれることがある。 |
| 腸間膜静脈硬化症(まれ) | 長期投与により起こることがある。 |
はなせる薬局 薬剤師このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してみてください。
加味逍遙散に関する注意点
加味逍遙散に関する際には、押さえるべき注意点があります。4つの注意点についてわかりやすく解説するので、ぜひご参考ください。
体質に合っているかを確認して服用する
加味逍遙散は、だれにでも同じように合うお薬ではなく、体質や症状の組み合わせを考えて使います。
医師は患者さんの体質や症状を考慮して、適性があると判断した場合に処方します。飲み始めたあとも経過をよく観察し、症状や所見の改善が見られない場合は、だらだらと続けるのを避けるよう求められています。
服用開始後に気になる症状が出た場合には、遠慮せず医師や薬剤師に相談し、今の状態に合う方法を一緒に探しましょう。
カンゾウ(甘草)を含むため、むくみや血圧に注意する
加味逍遙散にはカンゾウが含まれています。カンゾウを含む漢方薬では、体の水分や塩分のバランスが崩れ、血圧が上がったり、むくみが出たりすることがあるため注意が必要です。
はなせる薬局 薬剤師体重が急に増えた、顔や足がむくむ、動悸がする、手足に力が入りにくいといった変化があれば、我慢せず早めに連絡するようにしましょう。自己判断で服用を継続せず、症状に変化がみられた場合は医師や薬剤師へ相談することが大切です。
他の漢方薬やグリチルリチン製剤との併用に注意する
加味逍遙散と他の漢方薬を一緒に使うときは、含まれている生薬が被ってしまうことがあります。他の漢方製剤などを併用する場合は、生薬の被りに注意が必要です。
特にカンゾウを含むお薬や、似た働きをもつ成分が入ったお薬を一緒に使うと、体の水分やミネラルのバランスが崩れやすくなり、むくみや手足の力が入りにくいといった変化が出ることがあります。
市販薬やトローチ、処方薬を含めて、今飲んでいるものを伝えるだけでも安全性は高まります。
長期間服用する場合は体調変化に注意する
加味逍遙散を長く飲み続ける場合は、体調の小さな変化を見逃さないことが大切です。
加味逍遙散に含まれるサンシシを長期間服用すると、まれに腸の血管が硬くなることがあります。実際に、5年以上服用を続けた際に、腹痛や下痢、便秘、腹部の張りといった症状が繰り返し現れたという事例もあります。
このような変化に気づいた場合は、医師に相談しながら必要な検査や今後の服用について確認していきましょう。
加味逍遙散の服用を避けるべき人の特徴
妊娠中、または妊娠している可能性がある人は、原則として加味逍遙散の服用を避けるべきです。
他にも、以下に該当する場合は医師と相談した上で、加味逍遙散を服用するか慎重に検討する必要があります。
- 胃腸がとても弱い人
- すでに食欲不振や吐き気、嘔吐がある人
- 授乳中の人
- 子ども(小児)
- 高齢の人
- むくみや血圧が気になる人、カンゾウ入りの薬を使っている人
- グリチルリチン系の成分を含む薬を使っている人
- 長期間の服用になりそうな人
はなせる薬局 薬剤師上記に当てはまる場合は、診察時に医師に必ず申告しましょう。
加味逍遙散に関するよくある質問
加味逍遙散に関するよくある質問に回答します。疑問や不安を解消しておけば、安心して加味逍遙散を服用できるでしょう。
加味逍遙散は効果が出るまでどれくらいかかりますか?
加味逍遙散は、体質や症状の出方に合わせて用いられる漢方薬のため、効果を感じるまでの期間には個人差があります。
飲み始めてすぐに変化を感じる方もいれば、しばらく続けてから少しずつ実感する方もいます。何日で効くといった明確な目安はなく、体調の変化を見ながら使っていくことが大切です。
服用を続けても症状や体の状態に改善がみられない場合は、合っていない可能性もあります。医師や薬剤師に相談して見直していきましょう。
加味逍遙散はどのくらいの期間飲み続けますか?
服用期間は、症状の強さや体質、生活状況などによって異なります。基本的には、今の状態に合っているかを確認しながら続けていく考え方になります。何となく長く飲み続けるのではなく、体調や症状の変化を見て、必要に応じて調整することが大切です。
また、加味逍遙散を含む一部の漢方薬では、長期間の服用によって注意が必要な副作用が報告されています。長く飲み続ける場合は、定期的に受診し、今の体に合っているかを確認しながら続けると安心です。
加味逍遙散と逍遙散の違いは何ですか?
加味逍遙散は、逍遙散をもとにして、生薬を追加した処方です。基本となる生薬の構成は似ていますが、加味逍遙散にはサンシシやボタンピが加えられており、より幅広い不調に対応する目的で使われます。
この違いによって、同じような症状でも選ばれる処方が変わることがあります。名前が似ているため自己判断で切り替えたくなるかもしれませんが、体質や症状との相性が大切です。迷ったときは、医師や薬剤師に相談して選ぶようにしましょう。
加味逍遙散に依存するリスクはありますか?
加味逍遙散は漢方薬で、依存性や習慣性があるお薬ではありません。ただし、「飲まないと不安になる」「やめたら調子が悪くなりそう」と感じることがあると、依存しているのではないかと心配になる方もいます。
はなせる薬局 薬剤師また、加味逍遙散にはカンゾウが含まれており、むくみや血圧などに注意が必要な場合があります。安心して続けるためにも、体調の変化を見ながら医師や薬剤師と相談して服用しましょう。
加味逍遙散と当帰芍薬散の違いは何ですか?
加味逍遙散と当帰芍薬散は、どちらも月経まわりや更年期の不調に使われることがありますが、合いやすい体質が少し違います。
加味逍遙散は、疲れやすく肩こりがあり、精神不安やイライラ、のぼせを伴う人に向くことがあります。いっぽう当帰芍薬散は、冷えやむくみ、めまい、貧血傾向が目立つ人で選ばれやすい処方です。
似ていても重視する症状が異なるため、今いちばんつらい不調をもとに見極めてもらうと安心です。
加味逍遙散はPMSやPMDDに使われることがありますか?
加味逍遙散は、月経前に気分の波が強くなりやすい人や、イライラ、不安感などを伴う人で用いられることがあります。
医療用では月経不順や月経困難、更年期障害、血の道症などが対象に含まれており、こうした症状の流れからPMSに近い悩みで選ばれることもあります。
ただ、PMDDのように気分症状が強い場合は、ほかの病気との区別も大切です。
はなせる薬局 薬剤師つらさを我慢せず、婦人科や心療内科も含めて相談先を考えることが助けになります。
加味逍遙散は市販で買えますか?
加味逍遙散は市販薬として販売されている製品があり、薬局やドラッグストア、通販で見かけることがあります。
たとえばクラシエでは顆粒や錠剤の一般用医薬品があり、疲れやすい方の冷え症や生理不順などに用いられています。
ただし、市販薬は自分で選ぶ前提のため、妊娠中の方やほかの漢方や薬を飲んでいる方、症状が長引く方は慎重に考えたいところです。迷うときは、買う前に薬剤師へ体調を伝えて相談すると選びやすくなります。
加味逍遙散は男性でも飲めますか?
加味逍遙散は女性に使われる印象が強いものの、男性に処方されることもあります。大切なのは性別そのものではなく、疲れやすさや肩こり、精神不安、イライラなど、処方が合いやすい体の状態かどうかです。
ただ、男性の不調には別の病気が隠れている場合もあるため、自己判断で続けるより、症状の背景を一度確認しながら使う必要があります。
まとめ|加味逍遙散について正しく理解しよう
加味逍遙散は、気分の波やイライラなどの心の不調に加えて、更年期や月経に伴うつらさ、冷えや肩こりといった体の不調にも用いられる漢方薬です。
体質に合うかどうかで感じ方が変わるため、続けても変化が乏しい場合は見直しが必要です。発疹や胃の不快感などが出ることもあるので、気になる症状があれば無理をせず医師や薬剤師に相談しながら、自分に合う形で取り入れていきましょう。
ぜひ、本記事の内容を参考にして、加味逍遙散を活用して心身に関するお悩みを解決に導いてくださいね。
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