「加味帰脾湯って本当に効くの?」
「どれくらいの期間飲めばいい?」
「加味帰脾湯に副作用はないの?」
加味帰脾湯このような疑問を抱えている方も少なくありません。
加味帰脾湯は、心身の疲れやストレスで気力が落ちたり、眠りが浅い・不安になりやすいといった状態のときに用いられることがある漢方薬で、体のバランスを整えることを目的に使われます。なお、漢方薬には番号が割り振られており、加味帰脾湯は137番です。
この記事では、期待できるや基本的な飲み方、併用時の注意点などをまとめました。実際に患者様から寄せられることの多い質問にも回答しているので、ぜひ読んでみてくださいね。
加味帰脾湯とは

出典:ウチカラクリニック
加味帰脾湯(かみきひとう)は、不眠や不安、神経症を改善するために用いられる代表的な漢方薬です。中国の歴史ある処方「帰脾湯」をベースに、柴胡と山梔子という2つの生薬を加えた構成になっています。
『加味帰脾湯』という名は、心身を養って働きを“脾に帰する”とされた基本処方『帰脾湯』に、症状に応じた生薬を“加味”して生まれたことに由来します。
加味帰脾湯の主な役割は、消化器の働きを助けて足りない血を補い、心身に栄養を届けながら、ストレスによる神経の高ぶりを鎮めることです。疲れがたまって眠れない状態や、気持ちが休まらず眠りにくい状態の方に、処方されることが多い漢方薬です。
無理に眠りを促すのではなく、心と体のバランスを整えることで、自然な回復をサポートするのがこの薬の特徴になります。
なお、医療機関で処方される加味帰脾湯には、「ツムラ加味帰脾湯エキス顆粒(医療用)」などがあります。日本では、同じ処方名の医療用漢方製剤が複数のメーカーから販売されています。漢方製剤・生薬では、一般的な医薬品のような「先発医薬品」「後発医薬品」という区別はありません。
日本では、同じ処方名の医療用漢方製剤が複数のメーカーから販売されています。
はなせる薬局 薬剤師メーカーによって剤形や添加物、味、服用感などが異なる場合があるため、気になることがあれば医師や薬剤師に相談しましょう。
加味帰脾湯に期待できる効果
加味帰脾湯には、具体的にどのような症状に対して改善が期待できるのか、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
不眠の症状を和らげる
心身が疲れやすく、気持ちが落ち着かないことで眠りにくいといった不眠に用いられる漢方薬です。
加味帰脾湯は、単に眠気を誘うのではなく、体力の消耗を補いながら精神を安定させることで、心地よい眠りへと導いてくれるのが特徴です。特に、いろいろと考えすぎて頭が冴えてしまうような状態の方に適していると言えます。
また、無理やり眠らせるような強い作用ではないため、日中の過ごし方に大きな影響が出にくいとされています。
精神不安を落ち着かせる
加味帰脾湯は、精神的な不安感や焦燥感を和らげるために処方されることがあります。日々の生活の中で、気分が落ち込みやすい方の心を穏やかに整える効果が期待できるでしょう。
加味帰脾湯は、配合された生薬が体力を補いながら気持ちの落ち着きを整えることで、疲れやすさや不安感、緊張による不眠などの改善が期待されています。心身の負担が続いて、気力がわきにくいような状態に処方されることが多い漢方薬です。
精神を安定させることで、心がふっと軽くなるようなきっかけを作ってくれるでしょう。
神経症によるつらさを軽減する
神経症に伴う動悸やイライラ、気分の落ち込みといったつらい症状に対しても効果が期待できます。ストレスが原因で心身のバランスが崩れ、体に様々な不調が現れている場合に適しているでしょう。
具体的には、自律神経の乱れからくる不調を、体の中から整えていく作用があります。そのため、神経が過敏になっていて、緊張が続いて休まりにくい状態が少しずつ緩和する効果が期待できます。
はなせる薬局 薬剤師無理のない範囲で少しずつ、今感じているつらさが和らぎ、日常を過ごしやすくなるきっかけを作ってくれるお薬です。
貧血に伴う症状を改善する
加味帰脾湯は、体力がなく血色が悪いといった、貧血気味の方に見られる症状を改善する効果もあります。
この漢方薬には血を補う生薬が含まれており、全身の栄養状態を良くするように働きかけます。貧血によるふらつきや立ちくらみ、顔色の悪さが気になる方に処方されるケースが多いです。
また、めまいや倦怠感といった、貧血からくる二次的な不調もケアできるのが特徴になります。
加味帰脾湯の基本的な飲み方・用法・用量
お薬の力を十分に引き出すために、まずは基本的な飲み方を知っておきましょう。ここでは、成人の服用量や飲むタイミング、飲み忘れてしまった時の対処法について具体的に説明します。
服用する容量は体格や年齢、現在の症状の程度によって異なる
加味帰脾湯を服用する容量は、体格や年齢、現在の症状の程度によって異なります。また、1日2回から3回に分けて、コップ1杯の水やぬるま湯と一緒に服用するのが基本です。
なお、、漢方エキス製剤の場合、1包の量が決まっているため、医師や薬剤師から指示された回数を守るようにしましょう。
はなせる薬局 薬剤師ご自身の判断で調整するのではなく、まずは処方された分量を、無理のない範囲で決まったペースで続けてみてください。
加味帰脾湯は食前または食間に服用することが多い
加味帰脾湯を飲むタイミングは、原則として食前または食間となっています。
※食前とは食事の約30分前のことで、食間とは食事と食事の間を指し、食後から約2時間経過した時間のことを言います。
食事の直後に服用すると、食べ物の影響を受けて効果が薄れてしまう可能性があります。もし胃が弱く空腹時の服用が辛い場合は、医師に相談して飲む時間を調整してもらうことも可能です。
基本的には、お腹が空いている時に白湯などで飲むのが最も効果的であると覚えておきましょう。
加味帰脾湯を飲み忘れたときの対処
万が一飲み忘れてしまった場合は、気づいた時点で早めに1回分を服用してください。ただし、次の服用時間が近いときは、忘れた分は飲まずに1回飛ばして、次回から通常通り服用を再開しましょう。
そして、2回分を一度にまとめて飲むことは、副作用のリスクを高める原因となるため避けるようにしてください。
もし飲み忘れが多くなってしまったり、症状の変化や不安がある場合は、主治医に報告して指示を仰いでください。
はなせる薬局 薬剤師自分の判断で調整せず、決まったリズムで服用することを、まずは意識してみてくださいね。
加味帰脾湯の副作用【食欲不振・下痢・発疹など】
加味帰脾湯は自然由来の生薬で構成されていますが、体質や体調によっては副作用が現れることがあります。安全に服用を継続するために、どのような不調が起こり得るのか、あらかじめ主な症状を確認しておきましょう。
| 生じる恐れがある副作用 | 症状の特徴 |
| 消化器症状 | 食欲不振、胃部不快感、悪心、腹痛、下痢などがあらわれることがある |
| 過敏症 | 発疹、蕁麻疹などがあらわれることがある |
| 偽アルドステロン症(まれ) | 低カリウム血症を伴い、血圧上昇、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加などがあらわれることがある |
| ミオパチー(まれ) | 低カリウム血症の結果として起こることがあり、脱力感、四肢痙攣・麻痺などがあらわれることがある |
| 腸間膜静脈硬化症(まれ) | 長期投与により起こることがある |
記載された症状のほか、少しでも体調に異変を感じた際は、気兼ねなく医師や薬剤師に相談してください。
加味帰脾湯に関する注意点
安全に服用を続けるために、いくつか知っておくべき注意点があります。期待される効果を適切に得るためにも、以下のポイントをしっかりと把握しておきましょう。
自己判断で増減せず用法・用量を守って服用する
漢方薬は自然由来の生薬で作られていますが、たくさん飲めば早く治るというものではありません。
決められた用法や用量を超えて服用すると、予期せぬ体調不良を招く可能性があります。特に成分に含まれるカンゾウの過剰摂取は、血圧上昇やむくみといった副作用の原因になることもあるため注意が必要です。
もし効果が感じられない場合でも、無理に判断せず、医師や薬剤師に相談してみてください。
効果がすぐにあらわれるとは限らない
加味帰脾湯は、飲んですぐに劇的な変化が現れるタイプの薬ではなく、効果を実感するまでに一定の期間が必要な場合が多いです。
具体的には、数週間から数ヶ月ほど継続して服用することで、徐々に症状が和らいでいくことを目指します。そのため、焦らずにお薬に体を慣らしていくような気持ちで、じっくり付き合ってみてください。
もちろん、数日間飲んでも全く改善が見られなかったり、もし体調に違和感を覚えた場合は、いったん服用について医師や薬剤師に相談することが大切です。
はなせる薬局 薬剤師体の反応には個人差がありますので、安心して相談してください。
他の薬・漢方を服用中の場合は事前に医師・薬剤師へ相談する
すでに他の薬を飲んでいる方や、別の漢方薬を併用している場合は事前の確認が不可欠です。
複数の漢方薬を組み合わせると、特定の生薬成分(甘草など)が重複して過剰摂取になる恐れがあります。また、サプリメントや市販の風邪薬などとの飲み合わせが問題になることもあるでしょう。
したがって、自分の判断で複数を組み合わせるのではなく、お薬手帳を活用して全ての服用薬を伝えるようにしてください。
加味帰脾湯の服用を避けるべき人の特徴
以下に当てはまる方は、自己判断で服用せず、医師が有益性と危険性を比較したうえで使用可否を判断することが重要です。
- 食欲不振、悪心、嘔吐がある人
- 妊婦、または妊娠している可能性がある人
- 授乳中の人
- 子ども
- 高齢者
- 他の漢方薬や、甘草・グリチルリチンを含む薬を服用している人
はなせる薬局 薬剤師上記に該当する人は、診察時に医師に伝えましょう。
加味帰脾湯に関するよくある質問
最後に、加味帰脾湯についてよく寄せられる質問にお答えします。似た名前の漢方薬との違いや、安全性についても触れていきますので、参考にしてください。
加味帰脾湯はどんな人に向いていますか?
加味帰脾湯は、もともと疲れやすいなどの悩みのある方に適している漢方薬です。さらに、心が落ち着かず、不安や悩みから眠れなくなってしまうようなタイプの方にもおすすめです。
具体的には、貧血気味で動悸があり、いろいろと物事を深く考えすぎてしまうような状態に適する場合があります。
消化器の働きが弱く、食欲がわかないなどの体質的な悩みを持っている方にも処方されることが多い傾向にあります。
心身の両面が疲れ切ってしまい、エネルギーが不足していると感じる方の、選択肢の一つとして用いられることが多い漢方薬です。
加味帰脾湯は効果が出るまでどれくらいかかりますか?
効果を感じるまでの期間には個人差がありますが、一般的には2週間から1ヶ月程度が一つの目安となります。数ヶ月単位でじっくりと服用を続けるケースも少なくありません。
不眠や精神不安などの症状については、数日の服用で変化を感じる方もいれば、少し時間がかかる方もいます。まずは14日分ほど処方されることが多いので、その期間で自分の体にどのような変化があるか観察してみましょう。
もし1ヶ月程度飲み続けても全く変化がない場合は、処方内容が体質に合っていない可能性も考えられます。その際は医師に相談し、薬の変更や分量の調整を検討してもらうようにしましょう。
加味帰脾湯に依存するリスクはありますか?
一般的に、加味帰脾湯などの漢方薬には、睡眠薬や抗不安薬のような強い習慣性や依存性は低いと考えられています。
服薬指導時に指示された方法で正しく服用していれば、薬がないと生活できないといった依存状態に陥るリスクは極めて低いです。そのため、精神安定剤を使うことに抵抗がある方でも、比較的取り入れやすいでしょう。
はなせる薬局 薬剤師自己判断で中止するのではなく、医師と相談しながら決めていくようにしましょう。
「加味帰脾湯」と「帰脾湯」の違いは何ですか?
加味帰脾湯と帰脾湯の主な違いは、配合されている生薬の数にあります。
帰脾湯というベースとなる漢方薬に、山梔子と柴胡の2種類を加えたものが加味帰脾湯です。
帰脾湯は主に消化器を助け、血を補って心を落ち着かせる働きを持っています。そこに熱を冷ます作用のある山梔子と、気の巡りを良くする柴胡が加わることで、気持ちの高ぶりや情緒の不安定さなど、精神面の負担が強いときにも適しやすい処方になります。
そのため、イライラが強かったり、体の中に熱がこもっているような感覚があったりする場合は、加味帰脾湯が選ばれることが多いと言えます。
加味帰脾湯を飲むと太るって本当ですか?
加味帰脾湯では、体重増加が主な副作用として前面に出るわけではありません。ただ、体調や食欲、睡眠の状態が変わることで、結果として体重に変化が出ることはあります。
そのため、必ず太るとは言い切れませんが、体型の変化が気になるときは軽く見ないほうがよいでしょう。
見た目の変化は気持ちの負担にもつながりやすいため、自分を責めず、食事や生活の変化も含めて医師や薬剤師へ相談し、続け方を見直していくことが大切です。
加味帰脾湯は朝・昼・夜のどのタイミングで飲みますか?
加味帰脾湯は、通常、成人では1日7.5gを2〜3回に分けて飲むとされています。(※ツムラの場合の用量)そのため、朝・昼・夜に分けて服用することが多いですが、実際の回数や量は年齢、体重、症状によって調整されます。
食前または食間に飲む形が基本になるため、食事の前にあわせて続ける方も少なくありません。飲む時間がばらつくと、効き方や体調の変化を見にくくなることがあります。
はなせる薬局 薬剤師生活に合わないと感じるときは、無理を重ねず相談しながら整えていくことが勧められます。
加味帰脾湯は市販でも買えますか?
加味帰脾湯は、市販薬として購入できる製品があります。ただし、市販で手に入るからといって、誰にでも合いやすいとは限りません。
加味帰脾湯は、虚弱体質で血色が悪く、不眠や精神不安、神経症などがある人に使われる処方です。そのため、今の不調がこの漢方に合っているかを見ながら選ぶことが大切です。
自己判断だけで続けるより、持病がある方、ほかの薬や漢方を使っている方、妊娠中や授乳中の方は、購入前に薬剤師や医師へ相談しておくと安心につながります。
加味帰脾湯はどのくらいの期間飲み続けますか?
加味帰脾湯をどのくらい続けるかは、症状の強さや体質、飲み始めてからの変化によって異なります。はっきりと一律の期間が決まっているわけではなく、経過を見ながら判断していくことが大切です。
しばらく飲んでも症状や所見の改善が認められない場合は、続け方を見直すことが勧められています。また、長期投与では注意したい副作用もあるため、漫然と飲み続けないことが重要です。
はなせる薬局 薬剤師続けるほど不安が出てくるときは、その気持ちも含めて医師や薬剤師に相談していきましょう。
まとめ|加味帰脾湯について正しく理解しよう
加味帰脾湯は、心身の疲弊からくる不眠や不安、貧血症状などを、体の内側から根本的に整えてくれる漢方薬です。即効性や依存性はほとんどありませんが、数週間から数ヶ月継続することで、少しずつ本来の自分を取り戻す手助けをしてくれます。
服用にあたっては、食前や食間といった正しいタイミングを守り、体調の変化や副作用のサインに注意を払うことが大切です。他の薬との併用についても、専門家への確認が欠かせません。
自分の体質に合っているかを正しく判断するためにも、まずは医師や薬剤師に相談し、焦らずじっくりと改善に取り組んでいきましょう。
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