「気分の波が大きく、落ち着かない日が続いている…」
「アリピプラゾールを処方されたものの、副作用が心配で飲むのをためらっている…」
この記事を開いた方の中には、すでにアリピプラゾールを服用している方や、現在の治療が自分に合っているのか迷っている方、これから精神科の受診を考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、日々精神科の患者さまの服薬指導を行っている薬剤師の監修のもと、アリピプラゾールの特徴や期待できる効果、起こりやすい副作用について、できるだけわかりやすく解説します。
また、基本的な飲み方や服用中の注意点、よくある質問についても整理していきます。アリピプラゾールについて正しく知ることで、不安を減らしながら治療と向き合うための一助となれば幸いです。
アリピプラゾール(エビリファイ)とは

出典:沢井製薬
アリピプラゾールは、統合失調症や、双極性障害における躁症状の改善に使われるお薬です。
先発薬は「エビリファイ」です。「アリピプラゾール」は成分名で、後発のジェネリック医薬品の名前としても使われています。
アリピプラゾールは、脳内のドパミンやセロトニンの働きを調整する作用をもつ薬です。
ドパミンが過剰なときにはその働きを抑え、逆に不足しているときには高める方向に働く「ドパミン部分作動薬」という特徴があります。この仕組みにより、気分の不安定さや意欲の低下などの症状が整いやすくなるとされています。
はなせる薬局 薬剤師また、セロトニン受容体にも作用するため、気分の落ち込みや不安感の改善に役立つことがあります。
アリピプラゾール(エビリファイ)に期待できる効果
ここでは、アリピプラゾールに期待できる効果について詳しく解説します。
統合失調症の症状の改善
統合失調症では、幻覚や妄想がつらく感じられることがあります。落ち着かず、そわそわしてしまい、日常生活が苦しくなることもあります。
アリピプラゾールは、そんな統合失調症の治療に用いられることのあるお薬です。幻覚や妄想などの症状を和らげ、日常生活への支障を軽くするとされています。
ただし、効果はすぐに出るとは限りません。飲み続けることで、幻覚や妄想によるつらさが徐々にやわらぎ、気持ちや行動が落ち着いてくることが期待できます。
双極性障害の躁状態を落ち着かせる
双極性障害の躁状態では、気分が高ぶることがあります。眠らなくても平気に感じたり、考えが止まらなくなったりすることもあります。その結果、行動が大きくなりすぎてしまう場合があります。
アリピプラゾールは、双極性障害における躁症状の改善に用いられるお薬です。落ち着いてきたあとも、続け方は状態によって変わります。よくなったと感じても、自己判断で飲み方を変えないことが大切です。
はなせる薬局 薬剤師主治医と相談しながら調整していきましょう。
気分や行動の波をならし、日常生活の安定をサポートする
気分や行動の波が大きいと、生活のリズムが崩れやすくなります。頭が冴えて眠れない日が続くこともあれば、反対に何も手につかない日もあります。
アリピプラゾールは、脳内のドパミンやセロトニンなどの働きを整えることで、必要以上に高ぶっている部分を落ち着かせ、逆に不足している部分には補う方向に働きかけるとされています。
このようにバランスを調整することで、興奮や落ち着かなさが徐々にやわらぎ、考えや行動がまとめやすくなるなど、日常生活の安定につながることが期待されます。
アリピプラゾール(エビリファイ)の基本的な飲み方
アリピプラゾールの基本的な飲み方として、服用回数やタイミングなどを紹介します。
医師の指示に従い、1日1~2回の服用を基本とする
アリピプラゾールは、診断や症状に合わせて、医師が用量と回数を決めます。同じ薬でも、人によって飲み方が変わることがあります。
目安として、次のような用法が示されています。
・統合失調症:成人は1日6〜12mgから始め、維持量は1日6〜24mg。1日量を1回または2回に分けて服用します。
・双極性障害の躁症状:成人は12〜24mgを1日1回服用します。開始用量は24mgとされています。
また、1日量は30mgを超えないようにします。2週間以内に増量しないことが望ましいともされています。
効果が安定するまで、約2週間かかることがあるとされています。
はなせる薬局 薬剤師早くよくなりたいと思っても、自己判断で増やしたり減らしたりせずに、まずは相談して調整していきましょう。
服用時間は医師の指示に合わせて毎日同じタイミングで続ける
服用する時間は、医師の指示に合わせて決めます。統合失調症では、1日量を1回または2回に分けることがあります。双極性障害の躁症状では、1日1回の服用が基本です。
毎日だいたい同じ時間に飲むと、飲み忘れが減りやすくなります。体の中の薬の状態も、安定しやすいでしょう。
食前・食後に関わらず服用可能
アリピプラゾールは、食前でも食後でも服用できます。食事による影響は基本的にないとされています。
そのため、食事の時間に合わせなくても続けやすいお薬です。もし吐き気が出やすい日などがあれば、食後に服用するほうが負担が少ないこともあるため、医師に相談しましょう。
アリピプラゾールを飲み忘れたときの対処法
飲み忘れてしまった場合は、一般的には次のように対応します。
・次の服用まで時間がある:気づいた時点で1回分を飲む
・次の時間が近い:忘れた分は飛ばして、次から通常どおりに戻す
2回分をまとめて飲むと体調が悪くなるおそれがあるため、注意しましょう。
はなせる薬局 薬剤師判断に迷うときは、主治医や薬剤師に連絡して指示をもらうと安心です。
アリピプラゾール(エビリファイ)の副作用【不眠・便秘など】
アリピプラゾールには、以下のような副作用があります。
| 生じる恐れがある副作用 | 症状の特徴 |
| 痙攣 | 手足が細かく震える、コップなどを持つときにぶるぶるする |
| アカシジア(そわそわ感) | 足を動かさずにいられない、じっと座っていられないなど、強い落ち着かなさが続く |
| 傾眠(強い眠気) | 日中も眠気やだるさが強く、集中しづらい・ぼんやりする |
| 不眠・神経過敏 | 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、イライラ・神経が高ぶる感じが続く |
| 便秘 | 排便回数が減る、お腹が張る・苦しい感じが続く |
| 悪心 | むかむかする、食欲が落ちる、場合によっては吐き気・嘔吐が出る |
| 悪性症候群(まれ) | 動かない・話さないなどの反応の低下、強い筋肉のこわばり、飲み込みにくさ、脈が速い、血圧の変動、汗が増えるなどが出た後に、発熱がみられることがある |
| 遅発性ジスキネジア(まれ) | 長く飲み続けたあとに、口の周りなどが自分の意思と関係なく動く症状 |
| 麻痺性イレウス(まれ) | 食欲不振、吐き気・嘔吐、強い便秘、お腹の張りなどが出て、腸の動きが弱くなり腸の内容物がたまりやすくなる |
上記に該当する症状が出た場合は、診察時に医師に相談してください。
アリピプラゾール(エビリファイ)に関する注意点
アリピプラゾールに関して押さえるべき注意点を紹介します。4つに分けてわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
車の運転や危険を伴う作業は控える
アリピプラゾールの服用中は、眠気が出ることがあります。注意力や集中力が下がる場合もあります。そのため、服用中は自動車の運転や危険な機械の操作は避けましょう。
また、アリピプラゾールによる影響の出方には個人差があります。飲み始めたばかりの時期や、用量を調整した直後は、体が慣れておらず、ふらつきやぼんやり感が出ることもあります。
はなせる薬局 薬剤師少しでも眠気や集中しにくさを感じた日は、無理をしないでくださいね。
血糖値や体重の変化に気をつける
アリピプラゾールの服用中は、血糖値の変化に注意が必要とされています。
・のどの渇きが強くなる
・水をたくさん飲むようになる
・トイレが近くなる
上記のような変化があった場合は、早めに受診しましょう。
まれに血糖値が大きく上がり、体調に影響が出ることがあります。そのため、糖尿病がある方や血糖値が気になっている方は、血糖値の確認も含めて、医師と相談しながら経過を見ていくことが大切です。
また、副作用として体重が増えることもあります。急に増えたり減ったりしていないか、日頃からゆるやかに確認しておくと安心です。
衝動的な行動の変化に注意する
アリピプラゾールを飲み始めてから、「衝動を抑えにくくなった」と感じる人もいます。例えば、以下のような状態になることがあります。
・ギャンブルがやめられなくなる
・性的な衝動が強くなる
・買い物を繰り返してしまう
・食べ過ぎが止まらなくなる
・といった変化が含まれます。
もしこのような変化に気づいたら、早めに主治医へ相談することが大切です。
はなせる薬局 薬剤師状態を見ながら、必要に応じて量を調整したり、別の対応を考えてもらえます。
アルコールとの併用はできるだけ控える
アリピプラゾールを服用している間は、アルコールはできるだけ控えましょう。
アリピプラゾールもアルコールも中枢神経抑制作用※があるため、お酒を飲むことで、薬の作用が強く出ることがあります。その結果、眠気やふらつき、注意力の低下が起こりやすくなります。転倒や事故につながるおそれもあります。
これまでお酒で困ったことがない方でも、体調や薬の量によっては、いつもと違う影響が出ることがあります。違和感があるときは、無理をしないようにしましょう。
飲酒の習慣がある場合は、やめ方や量の調整について、主治医や薬剤師に相談しながら進めると安心です。
※中枢神経抑制作用:脳の働きを穏やかにし、眠気や注意力の低下などが起こる作用のこと
アリピプラゾールを服用できない方
アリピプラゾールは、体質や状況によっては服用できない場合があります。具体的には、以下の通りです。
【服用してはいけない方】
・昏睡状態の方
・バルビツール酸誘導体や麻酔剤など、中枢神経を強く抑える薬の影響が強く残っている方
・アドレナリンを投与中の方
※アナフィラキシーの救急治療や、歯科での浸潤麻酔・伝達麻酔で使用する場合を除きます
・アリピプラゾールの成分に対して、過去にアレルギー症状を起こしたことがある方
【医師の判断で注意が必要な方】
・心臓や血管の病気がある方、または低血圧がある方
・てんかんなどのけいれん発作の既往がある方
・糖尿病、糖尿病の既往がある方、または高血糖や肥満などの危険因子がある方
・不動状態、長期臥床、脱水、肥満などがある方
・自殺企図の既往や自殺念慮がある方
・肝機能障害がある方
・妊娠中、妊娠している可能性がある方、または授乳中の方
・高齢の方
はなせる薬局 薬剤師もし、上記に当てはまるかもしれないと思ったら、診察時に医師へ伝えてくださいね。
アリピプラゾール(エビリファイ)に関するよくある質問
アリピプラゾールに関するよくある質問に回答します。疑問や不安を解消しておくことで、安心してアリピプラゾールを服用できるでしょう。
アリピプラゾールとエビリファイの違いは何ですか?
アリピプラゾールとエビリファイは、どちらも有効成分が同じ「アリピプラゾール」のお薬です。そのため、基本的な働きや期待される作用に大きな違いはありません。
エビリファイは先発医薬品で、アリピプラゾール錠は後発のジェネリック医薬品として、複数の製品が発売されています。違いの一つとして、使用される病気の範囲があります。
エビリファイは、統合失調症や双極性障害の躁症状に加え、うつ病・うつ状態の補助療法や、小児期の自閉スペクトラム症に用いられることがあります。一方で、アリピプラゾール錠は、統合失調症と双極性障害の躁症状の改善を目的として使われるのが一般的です。
はなせる薬局 薬剤師また、錠剤の大きさや形、添加物、薬の価格などが異なる場合もあります。
服用開始からどれくらいで効果が出ますか?
効果が出るまでの期間は、人によって異なります。症状や体質、飲んでいる量によって差があります。
飲み始めて数日で、気分の落ち着きを感じる方もいます。一方で、はっきりした変化を感じるまでに時間がかかることもあります。
アリピプラゾールは、体の中で薬の状態が安定するまでに、ある程度の時間がかかるとされています。そのため、効果や体調の変化を見ながら、一定期間は同じ量で様子をみることが一般的です。焦らず、様子を見ながら調整していきましょう。
眠気やそわそわ感が出たときはどうすればいい?
眠気や落ち着かない感じ(アカシジア)は、アリピプラゾールを飲んだときにみられることがある副作用です。
つらいときは、我慢しないことが大切です。できるだけ早めに、主治医へ相談してください。量を調整したり、飲む時間を変えたり、症状を和らげる薬を追加したりすることで、対応できる場合があります。
アリピプラゾールの服用を突然やめるとどうなりますか?
調子がよくなってきたと感じても、自己判断で急にやめるのは避けてください。急に中止すると、離脱症状として、眠れなさ、落ち着かなさが出る場合もあります。
「やめたい」「量を減らしたい」と思ったときは、まず主治医に相談しましょう。状態を見ながら、少しずつ進めてもらうのが安心です。
はなせる薬局 薬剤師もし体調に変化を感じたときも、無理に我慢せず、早めに連絡してください。
アリピプラゾールを飲むと太ることはありますか?
アリピプラゾールでは、体重増加が副作用としてみられることがあります。一方で、体重減少も報告されており、体重の変化は人によって異なります。そのため、太るかどうかを一概に言い切ることはできません。
服用中に体重が急に増えたり、食欲の変化が続いたりして不安なときは、ひとりで抱え込まず、早めに医師や薬剤師へ相談することが大切です。無理に自己判断で中止せず、落ち着いて経過をみながら対応していきましょう。
アリピプラゾールは朝と夜どちらに飲むことが多いですか?
アリピプラゾールは、効能や症状に応じて1日1回または2回で使われる薬です。朝か夜かまでは一律に決められておらず、実際の服用時間は医師の指示に従うことが基本になります。
眠気、注意力低下、反対に不眠などがみられることもあるため、体調や生活リズムをふまえて調整されることがあります。
はなせる薬局 薬剤師飲む時間が気になるときや、今のタイミングでつらさがあるときは、遠慮せず医師や看護師に相談してくださいね。
アリピプラゾールは効果が出るまでどれくらいですか?
アリピプラゾールは、飲んですぐに状態が安定する薬ではありません。添付文書では、薬の血中濃度が定常状態に達するまで約2週間を要するとされ、2週間以内に増量しないことが望ましいと記載されています。
そのため、効果の感じ方には個人差がありますが、数日だけで判断せず、医師と相談しながら経過をみることが大切です。
アリピプラゾールをわかりやすくいうと?
アリピプラゾールは、脳内のドパミンの働きが強すぎるときはおさえ、弱すぎるときは補うように働く、比較的新しいタイプの抗精神病薬です。この特徴から「ドパミンの安定化薬」と呼ばれることもあります。
まとめ|アリピプラゾール(エビリファイ)について正しく理解しよう
アリピプラゾールは、統合失調症や双極性障害における躁症状の改善に使われるお薬です。
脳内のドパミンやセロトニンに関わる受容体に作用し、働きが強すぎる部分は抑え、足りない部分は補うように調整するとされています。その結果、気分や行動の波がゆるやかになり、日常生活を続けやすくすることが期待されます。
服用する回数や量は、人それぞれの症状によって異なります。医師の指示に沿って、無理のない形で続けることが大切です。本記事が、つらい症状を和らげる一助となれば幸いです。
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