「幻覚や妄想で頭がいっぱいになり、毎日が不安…」
「気持ちの高ぶりが抑えられず、周りの人との関係に悩んでいる…」
「ハロペリドールを処方されたけれど、副作用が出ないか心配…」
このような不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
本記事では、日々精神科の患者さまの服薬指導を行っている薬剤師の監修のもと、ハロペリドールの特徴や期待できる効果、基本の飲み方、副作用や注意点などをわかりやすく整理します。
この記事が、ハロペリドールについて理解を深めるきっかけとなれば幸いです。
ハロペリドールとは

ハロペリドールは、統合失調症や躁病の治療に用いられるお薬です。脳内にあるドパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の働きを適切に抑えることで、幻覚や妄想、過度な気分の高ぶりを落ち着かせる効果が期待されています。
心の不調が続くと、毎日の生活がとてもつらく感じられることがあります。このお薬は、そうしたつらい症状を和らげ、穏やかな日常を取り戻すためのサポートをしてくれます。
一方で、眠気やふらつきといった副作用が出やすくなることもあるため、服用中は注意が必要です。自己判断でお薬の量を減らしたりやめたりせず、医師の指示通りに飲み続けることが大切になります。
はなせる薬局 薬剤師なお、ハロペリドールの先発薬はセレネースです。
ハロペリドールに期待できる効果
ここでは、ハロペリドールに期待できる効果を3つ紹介します。
統合失調症の症状を改善する
ハロペリドールは、統合失調症の治療において、脳内の情報のやり取りに関わるドパミンの働きを整える作用があります。
統合失調症では、実際にはない声が聞こえたり、事実ではないことを強く信じ込んでしまったりすることがあります。これらは脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで起こると考えられています。
お薬を服用することで、頭の中の混乱が少しずつ静まり、不安や恐怖感が和らぐことが期待されます。症状が落ち着くことで、ご自身のペースで日常生活を送りやすくなるでしょう。効果を実感するまでには時間がかかることもあるため、焦らずに治療を続けることが大切です。
強い気分の高ぶり(躁状態)を穏やかにする
ハロペリドールは、躁病の治療にも用いられ、強すぎる気分の高ぶりを穏やかにする効果が期待されます。
気分が高揚しすぎると、眠らなくても平気になったり、次々とアイデアが浮かんで落ち着かなくなったりすることがあります。このような状態が続くと、ご自身も周囲の方も疲れ切ってしまうかもしれません。
このお薬は、過剰に働いている脳内の神経の活動を落ち着かせることで、気持ちの波を穏やかにする助けとなります。気分が安定してくると、ゆったりとした気持ちで過ごせる時間が増えていくはずです。
はなせる薬局 薬剤師体調の変化を感じたら、無理をせずに医師へ相談するようにしてください。
過度な緊張や強い不安感、焦りを和らげる
精神的な不調に伴って現れる、過度な緊張や強い不安感、焦りといったつらい気持ちを和らげる働きも期待できます。
心が疲れ切っていると、些細なことでも過敏に反応してしまい、常に気を張っているような状態になりがちです。頭の中で不安な考えが堂々巡りをして、リラックスできない日々が続くのはとても苦しいことでしょう。
ハロペリドールは、脳の働きを穏やかにすることで、張り詰めた緊張をやわらげることが期待されます。気持ちの余裕が生まれることで、夜もゆっくり休めるようになる可能性があります。焦らずに、お薬の力を借りながら心と体を休ませてあげましょう。
ハロペリドールの基本的な飲み方
ハロペリドールの基本的な飲み方について詳しく解説します。服用する量や飲み忘れた時の対処法などを説明するので、ぜひ参考にしてください。
通常は少量から開始し、徐々に量を増やしていく
お薬の効果を安全に引き出すため、ハロペリドールは通常、1日0.75ミリグラムから2.25ミリグラムという少量から飲み始めます。
その後は、ご自身の体調や症状の落ち着き具合、副作用の有無などを医師が慎重に確認しながら、少しずつお薬の量を増やしていきます。最終的には、1日3ミリグラムから6ミリグラムを維持量として服用することが一般的です。
急にお薬の量を増やすと、副作用が出やすくなる恐れがあります。そのため、決められた量を守って飲むことが大切です。
はなせる薬局 薬剤師もし効き目が足りないと感じても、自分の判断で飲む量を増やすことは絶対に避けてください。
飲み忘れた場合の対処法
お薬を飲み忘れてしまった時は、気づいたタイミングでできるだけ早く1回分を飲んでください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分は飲まずに1回お休みして、次の決められた時間からいつも通りに服用を再開しましょう。飲み忘れたからといって、2回分を一度にまとめて飲むことは絶対に避けてください。量が多くなると副作用が強く出る可能性があります。
毎日決まった時間に飲む習慣をつけることが大切ですが、忘れてしまうことは誰にでもあります。飲み忘れが頻繁に起こるようであれば、無理をせずに医師や薬剤師へ相談してみることをおすすめします。
ハロペリドールの副作用
ハロペリドールの主な副作用は、以下の通りです。
| 生じる恐れがある副作用 | 症状の特徴 |
| パーキンソン症候群・アカシジアなど | 手が震える、筋肉がこわばる、足がムズムズしてじっとしていられないなどの症状が出ることがある。 |
| 不眠・眠気 | 夜眠れなくなったり、逆に日中に強い眠気が出たりすることがある。 |
| 血圧降下・起立性低血圧 | 血圧が下がる、立ち上がったときにクラッとするなどの症状が出ることがある。 |
| 食欲不振・胃腸症状 | 食欲が落ちる、吐き気や胃の不快感、便秘などがあらわれることがある。 |
| 悪性症候群(重大な副作用) | まれに高熱や強い筋肉のこわばり、意識がぼんやりするなどの緊急症状が出ることがある。 |
はなせる薬局 薬剤師気になる症状が現れた場合は、すぐに医療機関に相談しましょう。
ハロペリドールに関する注意点
ハロペリドールを服用するにあたって、理解しておきたい注意点を解説します。ぜひ参考にしてください。
服用中は車の運転や危険な作業を控える
ハロペリドールを服用している間は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作は控える必要があります。
このお薬は脳の働きに作用するため、眠気が出たり、注意力や集中力、とっさの反射運動能力が低下したりすることがあります。ご自身では普段通りだと感じていても、気づかないうちに反応が遅れてしまい、思わぬ事故につながる場合があります。
特に飲み始めの時期や、お薬の量を増やした直後は、体が慣れていないため影響が出やすくなります。移動の際は公共の交通機関を利用するなど、安全を最優先にした生活を心がけてください。
自己判断でお薬の量を急に変えない
お薬の量を自分の判断で急に増やしたり、飲むのをやめたりするのは避けてください。
急にお薬の量を増やすと、高熱や強い筋肉のこわばりなどを伴う悪性症候群という重大な副作用が起こるリスクが高まります。逆に、良くなったからといって急に服用をやめると、症状が再び現れたりてしまったり、体調を大きく崩してしまったりする可能性があります。
お薬の調整は、医師が患者さんの状態を細かく観察しながら慎重に行うものです。
はなせる薬局 薬剤師不安なことやつらい症状がある時は、一人で抱え込まずに必ず医師に相談して指示を仰ぎましょう。
アルコールとの併用は避ける
ハロペリドールを服用している期間は、お酒を飲むことをできるだけ控えてください。
アルコールには、お薬と同じように脳の働きを抑える作用があります。そのため、お薬とお酒を一緒に体に取り込むと、相互に作用を強め合ってしまい、眠気やふらつきといった副作用が普段よりも強く現れる恐れがあります。
また、お酒の力に頼りたくなってしまうお気持ちもあるかもしれませんが、治療をスムーズに進めるためには避けるのが無難です。どうしてもお酒を飲む必要がある場面などでは、事前に必ず医師や薬剤師に相談して指示をもらうようにしましょう。
ほかの病気の症状が見えにくくなることがある
ハロペリドールには吐き気を抑える作用があるため、ほかの病気による症状を隠してしまう可能性があることに注意が必要です。
例えば、腸閉塞や脳腫瘍、あるいは別のお薬による中毒症状などが起きていても、吐き気や嘔吐といった初期のサインが現れにくくなることがあります。そのため、重大な病気の発見が遅れる可能性があります。
もし、吐き気以外にお腹の強い張りや激しい便秘、普段とは違う頭痛など、少しでも体に異変を感じた場合は、決してそのままにしないでください。
はなせる薬局 薬剤師早めに医療機関を受診し、医師の診察を受けることがご自身の体を守るために大切です。
ハロペリドールの服用を避けるべき人の特徴
安全にお薬を使っていくために、以下に当てはまる方は自己判断で服用せず、必ず医師に相談してください。
【禁忌(服用してはいけない方)】
・意識がはっきりしない昏睡状態にある方
・中枢神経を強く抑えるお薬の影響下にある方
・重症の心不全がある方
・パーキンソン病、またはレビー小体型認知症の方
・過去にこのお薬の成分で過敏症(アレルギーなど)を起こしたことがある方
・アドレナリンを使用中の方 ・妊娠中、または妊娠している可能性のある女性
【医師の判断で注意が必要な方】
・心臓や血管の病気、低血圧がある方
・不整脈(QT延長など)を起こしやすい状態の方
・てんかんなど、けいれん発作の経験がある方
・甲状腺の機能が亢進している方
・脱水や栄養不良などでひどく疲労している方、脳に障害がある方
・長期間ベッドで寝たきりの方、肥満の方 ・肝機能障害のある方
・授乳中の方、小さなお子様、ご高齢の方
ハロペリドールに関するよくある質問
患者さまから寄せられることの多い、ハロペリドールに関するよくある質問に回答します。
長期間飲み続けても大丈夫ですか?
ハロペリドールは、医師の適切な管理のもとであれば長期間の服用が可能なことが多いお薬です。
統合失調症などの治療では、症状が良くなった後も再発を防ぐために、お薬を長く飲み続けることが推奨されています。途中でやめてしまうと、症状が再び現れてしまうことがあるためです。
ただし、長く飲み続けることで口の周りが勝手に動くなどの副作用(遅発性ジスキネジア)が現れることもあります。そのため、定期的に医師の診察を受け、体調に変化がないか確認しながら安全に治療を進めていきましょう。
ハロペリドールに依存性はありますか?
ハロペリドールには、いわゆる麻薬や一部の睡眠薬のような強い依存性はないとされています。
お薬を飲みたいという強い衝動に駆られたり、だんだん量が増えていったりするような心配は少ないお薬です。そのため、依存してしまうのではないかという過度な不安を抱く必要はありません。
しかし、自己判断で急に飲むのをやめると、反動で体調を崩すことがあります。
はなせる薬局 薬剤師お薬をやめる時や量を減らす時は、必ず医師と相談しながら少しずつ計画的に進めることが大切になります。
ハロペリドールは飲み始めてからどのくらいで効果が出ますか?
お薬の効果が現れるまでの期間には個人差があり、一概には言えません。
不安や気分の高ぶりといった症状に対しては、比較的早く効果を感じる方もいらっしゃいます。一方で、幻覚や妄想といった症状の改善には、数日から数週間ほどの時間がかかることが一般的です。
飲み始めてすぐに効果が出ないからといって焦る必要はありません。じっくりと時間をかけて脳の働きを整えていくお薬ですので、まずは医師の指示通りに服用を続けてみてください。
ハロペリドールで眠気が出たときはどうすればよいですか?
日中に強い眠気を感じて生活に支障が出る場合は、決して我慢せずに医師や薬剤師に相談してください。
ハロペリドールは脳の働きを落ち着かせる作用があるため、どうしても眠気が出やすくなります。体が慣れるにつれて和らいでいくこともありますが、つらい状態が続くのは心身にとって良くありません。
医師に相談することで、飲む量やタイミングを調整してもらえたり、別のお薬への変更を検討してもらえたりすることがあります。
はなせる薬局 薬剤師一人で悩まずに、まずは医療の専門家を頼るようにしましょう。
ハロペリドールを服用すると太るんですか?
ハロペリドールなどの抗精神病薬を服用すると、副作用として食欲が増したり、体重が増加したりすることがあります。
これは、お薬が脳に働きかけることで、満腹感を感じにくくなったり、体の代謝が落ちたりするためだと考えられています。しかし、すべての人に体重の増加が起こるわけではありません。
もし服がきつくなったなど、体重の変化が気になる場合は、食事のバランスを見直したり、無理のない範囲で体を動かしたりするのも一つの方法です。不安な時は、医師に相談してアドバイスをもらいましょう。
ハロペリドールをわかりやすくいうと?
ハロペリドールは、脳内の情報伝達にかかわるドパミンの働きをおさえることで、幻覚や妄想などの症状を落ち着ける、古くから使われてきた抗精神病薬です。
長年の使用実績があるお薬ですが、副作用への注意も必要なため、医師の指示どおりに服用を続けることが大切です。
まとめ|ハロペリドールについて正しく理解しよう
ハロペリドールは、統合失調症や躁病の治療に使われ、幻覚や妄想、気分の高まりを穏やかにする効果が期待できるお薬です。最初は少ない量から飲み始め、医師の指示に従って少しずつ量を調整していくことが安全な治療に繋がります。
眠気やふらつきなどの副作用が出ることもあるため、服用中の車の運転は控えましょう。また、自己判断でお薬の量を急に変えたり、途中でやめたりすることは避けてください。
不安なことや気になる症状があれば、いつでも医師や薬剤師に相談して構いません。この記事が、安心して治療に向き合うための手助けとなれば幸いです。
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