「なかなか寝付けず、夜が来るのが苦しい……」
「処方されたエバミールを飲んでみたいけれど、依存性や副作用が心配」
この記事では、日々精神科の患者さまの服薬指導を行っているはなせる薬局薬剤師が、エバミールの特徴や期待できる効果、基本的な飲み方、副作用のリスクや注意点をやさしく解説します。
この記事を読んだ方にお薬について知ってもらうことで、理解しながら最適な治療を選択するための一歩となれば幸いです。
エバミールとは

出典:QLife
エバミールは、ロルメタゼパム※1 という成分を含む、ベンゾジアゼピン系※2 の睡眠導入剤です。眠れない状態が続いてつらいときに、脳の働きをやさしく落ち着かせ、自然な眠りにつきやすくする目的で使われます。
エバミールは、医師の診察と処方が必要なお薬です。
はなせる薬局 薬剤師体調や症状に合わせて使い方を調整することが大切なため、自己判断せず、必ず医師の指示に従って使用するようにしましょう。
※1 不安や緊張を和らげ、眠りを促す作用をもつ有効成分。睡眠導入剤などに用いられる
※2 脳の興奮を抑えることで、不安の軽減や鎮静、睡眠導入などの作用を示す薬の系統
エバミールに期待できる効果
ここでは、エバミールに期待できる効果を紹介します。
寝付きを良くする
なかなか眠れず、布団に入っても目が冴えてしまうようなときに、エバミールが役立つことがあります。エバミールを服用すると、個人差があるものの比較的早い段階で体に吸収され、寝つきを良くする効果が期待されます。
体に力が入ってリラックスできないときでも、気持ちや体を少しずつ落ち着かせて、眠りにつきやすい状態へ導いてくれるお薬です。
夜中に目が覚めるのを防ぐ
夜中に何度も目が覚めてしまう際にも、エバミールは効果のあるお薬です。エバミールは効果が比較的長く続くため、眠りが途中で途切れにくくなることが期待されるお薬です。
眠りを維持する力を支えることで、途中で目が覚めてしまう回数が減り、朝まで眠れたと感じやすくなる方もいます。
はなせる薬局 薬剤師結果として、日中の眠気や集中しにくさが和らぐこともあるでしょう。
不安や緊張を和らげてリラックスさせる
エバミールには、眠りを助ける作用に加えて、気持ちの緊張をやわらげたるはたらきもあります。
仕事や勉強、人間関係などで気が張ってしまい、なかなか眠れないときに、入眠を助けることで心身が落ち着き、眠りにつきやすくなる場合があります。
エバミールの基本的な飲み方
エバミールの基本的な飲み方について解説します。服用する頻度・回数、タイミングなどを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
服用する頻度・回数
服用する回数は、原則として1日1回です。寝る前のタイミングで、1回分の用量を水またはぬるま湯と一緒に飲みます。一度に2回分をまとめて飲んだり、日中に何度も服用したりしないようにしましょう。
毎日決まったタイミングで服用することで、体内の薬物濃度が安定し、一定のリズムで眠気が訪れるとされています。
そして、症状が改善してきた場合であっても、自己判断で服用を中断するのではなく、まずは主治医に相談してください。
服用するタイミング
服用のタイミングは就寝前になります。エバミールを飲んだ後は、すぐに布団に入って寝る準備をしましょう。
薬の効果が出始めると、意識が朦朧としたり、ふらついて転倒したりする恐れがあります。特に高齢者や、夜中にトイレに行く習慣がある方は十分に注意が必要です。
もし、服用してから完全に眠るまでの間に一時的な記憶の欠落などの副作用が起こる場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。
服用を忘れた場合はどうする?
もし寝る前にエバミールの服用を忘れてしまった場合、十分な睡眠時間が確保できるのであれば、1回分を服用しても構いません。
しかし、起床まで数時間しかないようなタイミングであれば、その夜の服用は控えましょう。朝近くに服用すると、起きた後も眠気やふらつきが残りやすいためです。
また、前の晩に飲み忘れがあったとしても、翌朝や翌晩に2回分を一度に飲むことは避けましょう。
はなせる薬局 薬剤師不安な場合は、事前に医師へ対処法を確認しておくと安心です。
エバミールの副作用
エバミールは多くの方に使用されている睡眠薬ですが、体質やその日の体調によって、次のような症状がみられることがあります。
| 生じる恐れがある副作用 | 症状の特徴 |
| 眠気・だるさ | 翌朝まで強い眠気が残ったり、全身がだるく感じて集中しづらくなることがあります |
| めまい・ふらつき | 立ち上がったときにクラッとしたり、歩行時にふらつきやすくなります |
| 頭重感・頭痛 | 頭が重い感じが続いたり、頭痛を感じることがあります |
| 倦怠感 | 体が重く、普段より疲れやすく感じることがあります |
| 注意力・判断力の低下 | 物事に集中しにくくなったり、判断力が鈍くなることがあります |
| 一過性前向性健忘(まれ) | 服用後の出来事を一時的に覚えられなくなることがあります |
| もうろう状態(まれ) | 意識がぼんやりし、はっきりしない状態になることがあります |
| 刺激興奮・錯乱(まれ) | 大声を出す、些細なことで怒りっぽくなる、落ち着かなくなることがあります |
| 呼吸抑制(まれ) | 呼吸が浅くなったり、息苦しさや強い眠気、意識低下がみられることがあります |
特に服用初期や高齢者の方は、ふらつきによる転倒に注意が必要です。気になる症状があれば医師に相談しましょう。
エバミールに関する注意点
エバミールを使用する際は、副作用や飲み合わせについて正しく知る必要があります。安全に治療を続けるため、これから説明する注意点を必ず守ってください。
翌朝の眠気やふらつきに注意する
エバミールは、起床後も薬の成分が体内に残ることがあります。これにより、翌朝に強い眠気や頭がボーッとする感じが続く場合があるので注意が必要です。
特に気をつけたいのが、車の運転や危険を伴う操作です。服用中、車の運転はしてはいけません。反応速度が低下しているため、安全に支障が出る可能性があるためです。また、薬には筋肉をリラックスさせる作用もあるため、足元がふらつきやすくなります。
はなせる薬局 薬剤師もし日中の眠気が強く生活に支障が出る場合は、早めに医師に相談して用量の調整を検討してもらいましょう。
アルコールとの併用は厳禁
薬を服用している期間は、飲酒を控えましょう。
アルコールとエバミールはどちらも中枢神経を抑制する働きや催眠・鎮静作用があるため、一緒に摂取すると薬の作用が強く出すぎることがあります。その結果、過度の眠気や意識障害など、健康に大きな影響を及ぼす恐れもあります。
たとえ数時間前にお酒を飲んだ場合でも、成分が体内に残っている間は薬を飲むのは避けましょう。安全に使っていただくため、治療中はできるだけ飲酒を控えることをおすすめします。
自己判断で急に服用を中止しない
長期間服用していた薬を突然中止すると、以前よりも症状が悪化して眠れなくなる可能性があります。また、イライラ感や不安、震え、発汗といった離脱症状が現れるケースも少なくありません。
薬をやめる際は、数週間から数ヶ月かけて徐々に量を減らしたり、服用間隔をあけたりするステップが必要です。必ず医師の指導のもとで、スケジュールに沿って慎重に減量を進めるようにしてください。
一時的に記憶があいまいになることがある
エバミールの副作用として、一過性前向性健忘という症状が報告されています。これは、薬を飲んでから眠りにつくまでの間の出来事や、夜中に目が覚めたときの行動を覚えていない状態を指します。
これを防ぐためには、薬を飲んだらすぐに就寝することが何より大切です。また、十分な睡眠時間が取れないまま途中で無理に起きると、この症状が出やすくなります。
もし、家族から「夜中に話しかけられた」「歩き回っていた」など、本人が覚えていない行動を指摘された場合や、朝起きて身に覚えのない状況があった場合は、早めに医師に相談してください。
はなせる薬局 薬剤師自覚しにくい症状のため、周囲の気づきが役立つことがあります。
呼吸器に疾患がある方は慎重に
呼吸器系の持病がある方は、エバミールの使用に際して注意が必要です。
このお薬は、眠りに入りやすくする働きの中で、呼吸がゆっくりになりやすいことがあるため、もともと呼吸の状態に不安がある方では影響が出る可能性があります。
具体的には、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患がある方や、睡眠時無呼吸症候群の方は慎重な判断が求められます。診察を受ける際は、必ずこれらの持病があることを医師に伝えてくださいね。
エバミールの服用を避けるべき人の特徴
エバミールの服用を避けるべき人の特徴を紹介します。
【禁忌(服用してはいけない人)】
〇本剤の成分に対して過敏症の既往歴がある方
〇重症筋無力症の方(筋弛緩作用により症状が悪化する恐れがあるため)
〇急性閉塞隅角緑内障の方(眼圧が上昇する恐れがあるため)
【医師に判断してもらう必要がある人】
〇高齢の方(ふらつきや転倒のリスクが高いため)
〇心障害、肝障害、腎障害がある方
〇脳に器質的な障害がある方
〇呼吸機能が高度に低下している方(肺性心、肺気腫、気管支喘息など)
〇妊婦・授乳婦
〇高齢者
はなせる薬局 薬剤師上記に該当する場合は、診察時に必ず医師に伝えましょう。
エバミールに関するよくある質問
エバミールを服用するにあたって、多くの人が疑問に思う質問に回答します。
エバミールはどのくらいの期間飲み続けますか?
服用期間は、患者さんの不眠の症状や原因によって大きく異なります。基本的には、眠れない原因が改善され、自然な眠りが戻るまでの間、必要最小限の期間だけ服用するのが望ましいと考えられています。
したがって、数週間で服用が終わる場合もあれば、数ヶ月以上の継続が必要なケースもあるでしょう。
もし長期間飲んでいることに不安を感じたら、自分で判断せずに医師へ相談してください。適切な治療計画のもとで、少しずつ薬の量を減らしていくことが大切です。
エバミールとロルメタゼパムの違いは何ですか?
エバミールとロルメタゼパムの違いは、商品名と成分名の違いです。エバミールは睡眠薬の商品名で、ロルメタゼパムはその薬に含まれている有効成分の名前(一般名)です。
そのため、エバミールはロルメタゼパムを有効成分とする薬の1つです。同じ成分を含む薬であるため、期待できる効果や主な副作用、基本的な服用方法に大きな違いはありません。
エバミールに依存するリスクはありますか?
エバミールは、長期間使い続けたり決められた量より多く飲んでしまったりすると、薬をやめにくくなる状態になるリスクがあります。
具体的には、急に服用を中断した際にイライラや手の震え、不眠の悪化などの離脱症状として現れることが報告されています。
依存を防ぐためには、医師が指示した用量と回数を厳密に守ることが最も大切です。
はなせる薬局 薬剤師自分の判断で飲む量を増やしたり、頻度を上げたりするのは控えましょう。
エバミールの代わりになる市販薬はありますか?
薬局やドラッグストアで購入できる市販の睡眠改善薬がありますが、これらはエバミールの代わりになるものではありません。
市販薬の多くは、一時的な寝付きの悪さを改善することを目的としています。一方で、エバミールは不眠症の状態や原因に合わせて医師が処方する治療薬で、働き方や効果の持続時間が市販薬とは異なります。
眠れない状態が続いてつらいときは、医療機関で相談して自分に合う方法を一緒に考えるのが安心です。
エバミールは翌朝眠気が残りますか?
エバミールは作用が約6〜10時間ほど持続する睡眠薬であるため、体質や体調によっては翌朝に眠気が残ることがあります。
特に、服用してから起床までの睡眠時間が十分に確保できていない場合に、この傾向は強く見られるでしょう。また、高齢者や肝機能が低下している方は、薬の分解に時間がかかるため、翌日の眠気やふらつきに注意が必要です。
朝起きてからもしばらく眠気が残っていると感じる場合は、用量が多すぎる可能性も考えられます。
はなせる薬局 薬剤師無理をして活動を続けず、主治医に状況を伝えて、薬の種類や量の見直しを相談するようにしましょう。
まとめ|エバミールについて正しく理解しよう
エバミールは、寝つきの悪さや夜中に何度も起きてしまうときに使われるお薬で、眠りに入りやすくし、途中で目が覚めにくくする働きがあります。脳の興奮を抑えることで自然な眠りを誘い、寝付きの悪さや夜中の目覚めといった不眠症状の改善に効果が期待できます。
安全に使用するためには、お酒との併用を避け、翌朝の眠気やふらつきといった副作用に注意することが大切です。また、依存や耐性のリスクを抑えるためにも、必ず医師の指示に従い、適切な用法・用量を守って服用しましょう。
本記事の内容が、つらい症状を和らげる一助となれば幸いです。
関連記事
▼ 【薬剤師監修】エスタゾラム(ユーロジン)とは?効果時間と翌朝への残り方
「エスタゾラムとはどのような睡眠薬なのか、期待できる効果や基本の飲み方、副作用、服用時の注意点を分かりやすく解説します。」
▼ 【薬剤師監修】フルニトラゼパム(サイレース)の効果・副作用・飲み方を解説|強さや効果時間、サイレースとの違いも紹介
「フルニトラゼパムとはどんな薬?と気になる人に向けて、期待できる効果や、基本的な飲み方、主な副作用、注意点をわかりやすく解説します。」
▼ 【薬剤師監修】ロラゼパムとは?効果時間・依存性・やめ方を解説
「不安や緊張をやわらげる薬であるロラゼパムについて詳しく解説します。」
▼ 【薬剤師監修】デエビゴの効果と副作用を解説|効果時間・半減期・飲むタイミング・市販の有無も紹介
「睡眠薬デエビゴの効果と副作用を薬剤師が解説。」


