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【薬剤師監修】アトモキセチン錠とはどんな薬?期待できる効果や副作用を解説

「アトモキセチン錠を勧められたけど、副作用が怖い…」
「毎日飲み続けることで、体に負担がかかったり、依存しないのか…」

ADHD治療薬の一つとして医師からアトモキセチン錠を勧められたものの、このような不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、アトモキセチン錠がどのようなお薬なのか、期待できる効果や主な副作用、依存性の有無、基本的な飲み方やコンサータとの違いについて解説します

医師から処方されたものの飲むのが不安な方や、ADHDの治療薬について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

お薬の不安は薬局や薬剤師へのご相談もおすすめです。
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監修者
木下 将吾のプロフィール写真

話せるメディカル株式会社 代表取締役|薬剤師

木下 将吾

6年制薬学部を卒業後、日本イーライリリー株式会社にて糖尿病・成長ホルモン領域のMRとして2年間従事。基礎インスリンから経口血糖降下薬まで幅広い製剤を担当し、多くの専門医とともに糖尿病治療を通じた患者貢献のあり方を検討。現在は、はなせる薬局の管理薬剤師・開設者として、医療機関連携を通じて患者さんへの貢献の幅を広げるべく活動している。

目次

アトモキセチン錠とは

アトモキセチン錠は、ADHDにおける「不注意」や「多動性・衝動性」といった症状の緩和が見込めるお薬です

非中枢刺激薬というタイプに分類され、先発医薬品である「ストラテラ錠」と同じ有効成分(アトモキセチン)を含んでいます。

私たちの脳内には、注意や感情のコントロールをサポートする「ノルアドレナリン」という神経伝達物質が存在します。ADHDの特性がある場合、このノルアドレナリンが不足しているとされているのです。

アトモキセチン錠は、このノルアドレナリンが脳内で適切に働くよう、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害し、脳内のノルアドレナリンを増やす機能を持つ医薬品になります

はなせる薬局 薬剤師

また、このお薬は非中枢刺激薬であり、効果が安定するまで数週間ほど時間がかかりますが、依存のリスクが極めて低いという特徴もあります。

アトモキセチン錠に期待できる効果

アトモキセチン錠は、ADHDの主な症状である「不注意」や「多動性・衝動性」に対して、改善が期待できるお薬です。ここでは、具体的に期待できる効果について解説していきます。

落ち着いて考えてから行動できる

ADHDの特性の一つに、考えがまとまる前に動いてしまうということがあります。

具体的には、「思いついたことをすぐに口に出してしまう」「順番やルールを守るのが難しい」といったものです。これらは行動をコントロールする脳の働きが関係していると考えられています。

アトモキセチン錠は、脳内の神経伝達のバランスを整える働きが期待されるお薬であるため、服用を続けることで、行動を制御する機能がサポートされるとされています

集中力・作業が持続しやすくなる

アトモキセチン錠は、「不注意」の特性に対しても良い影響をもたらすことが期待されています

具体的には、脳内の注意機能に関わるとされる神経伝達物質(ノルアドレナリン)の濃度を高める働きがあるとされています。

したがって、服薬によって集中力が維持しやすくなり、最後まで粘り強く作業に取り組めるようになることが期待できるでしょう。

計画したことを実行できる

計画を立てたとしても、いざ実行しようとすると途中で挫折してしまったり、計画通りに進められなかったりすることも、ADHDの方が抱えるよくある悩みの一つであると言えます。

アトモキセチン錠は、物事を順序立てて考え、それを継続して実行する力を助ける効果が期待できる薬です。

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集中力が持続しやすくなることや衝動的な行動が減ることで、粘り強く取り組めるようになると考えられています。

アトモキセチン錠の基本的な飲み方

お薬の効果を適切に得るためにも、医師から指示された用法・用量を守ることが大切です。ここでは、アトモキセチン錠の基本的な飲み方や、万が一飲み忘れた場合の一般的な対処法について解説します。

1日1回または1日2回で処方される

アトモキセチン錠は、その人の体重や症状、副作用の出方などを考慮しながら、飲む量や回数が慎重に決められます。

一般的には、小児の場合は1日2回の服用になりますが、18歳以上は1日1回または1日2回で服用します

特に飲み始めは、体を慣らすために少ない量からスタートし、数週間かけてゆっくりと適切な量まで増やしていく方法がとられることが多いです。

食前・食後どちらでも服用できる

アトモキセチン錠は、お薬の吸収が食事によって大きな影響を受けにくいとされているため、食前・食後のどちらのタイミングでも服用できるのが特徴です

他のお薬では「食後30分以内」など、飲むタイミングが厳密に決められているものもありますが、アトモキセチン錠はそのような制約が比較的少ないと言えます。

ただし、人によっては服用後に胃の不快感や吐き気を感じる場合があります。もし空腹時に飲むと胃がムカムカするようであれば、食後に飲むようにすると、それらの症状が和らぐ可能性があります。

はなせる薬局 薬剤師

飲むタイミングは自由ですが、お薬の効果を安定させるためには、毎日なるべく同じ時間帯に飲み続けるようにしましょう。

飲み忘れた場合の対処法

アトモキセチン錠は毎日決まった時間に飲むことが大切です。重要なのは、飲み忘れたからといって、2回分の量を一度に飲むことは絶対にしないことです。 

飲み忘れたら、気づいた時に1回分を飲んでください。ただし次の飲む時間が近い場合は1回とばして、次の時間に1回分服用しましょう。

これらは一般的な目安ですので、不安な場合は医師や薬剤師に確認しましょう。

アトモキセチン錠の副作用

ここでは、アトモキセチン錠の副作用について、表で分かりやすくご紹介します。

生じる恐れがある副作用症状の特徴
吐き気・食欲低下、腹痛食欲が落ちる、むかつき、みぞおちの不快感
眠気または不眠日中のぼんやり感や逆に寝つきにくいなど
口の渇き・便秘口の中が乾いたように感じる、便が出にくくなる、便が硬くなる
頭痛・めまい頭痛、立ちくらみ
動悸・血圧や脈の上昇心拍が速い、ドキドキする、血圧上昇。
排尿しづらい・尿が出にくい特に男性で感じやすいことあり。
気分の落ち込み・不安・いらだち気分の変化が強い、「死にたい」という気持ちなど
肝機能障害倦怠感、黄疸、濃い尿、食欲不振などが起こる

お薬の副作用はすべての人に出るわけではなく、効果と同じように個人差があります。

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多くは飲み始めに体が慣れるまでの一時的なものですが、気になる症状が出た場合は、自己判断で服用をやめず、必ず医師や薬剤師に相談することが大切です。

アトモキセチン錠に関する注意点

アトモキセチン錠は、適切に使用してこそ期待した効果が見込めます。安全に治療を進めるため、服用にあたって特に重要な注意点を解説します。

併用薬・持病は必ず医師に伝える

アトモキセチン錠には、一緒に飲むと効果が強く出すぎたり、逆に弱まったりする「飲み合わせ」に注意が必要なお薬があります

例えば、一部の抗うつ薬や気管支拡張薬、昇圧薬などが該当する場合があります。また、心臓の病気、高血圧、肝臓の病気といった持病がある場合、アトモキセチン錠の服用に慎重な判断が必要なケースも存在します。

医師が安全性を確認するために、現在治療中の病気や飲んでいる市販薬、サプリメント、過去にかかった大きな病気(既往歴)、アレルギー体質などについては、処方を受ける前に必ず医師や薬剤師にすべて伝えるようにしてください。

効果を実感できるまで数週間かかる

アトモキセチン錠は、痛み止めのように「飲んですぐに効く」といった即効性は期待できません

このお薬は、脳内の神経伝達物質のバランスをゆっくりと整えていくという特徴があるとされています。そのため、効果が安定して感じられるようになるまでには個人差はあり、一般的に数週間、人によっては1~2ヶ月程度かかる場合もあります

したがって、飲み始めてすぐは不安を感じるかもしれませんが、効果はじわじわと現れてくることが多いため、医師の指示通りに服用を続けることが大切です。

はなせる薬局 薬剤師

焦らずに治療を継続し、体調や気分の変化があった場合は、診察の際に医師に共有しましょう。

自己判断で中断しない

服用を始めて「副作用がつらい」と感じたり、逆に「症状が良くなった」と感じたりした時に、自分の判断でお薬の量を減らしたり、飲むのをやめてしまったりするのは良くありません

自己判断で中断すると、症状が元に戻ってしまったり、せっかく安定しかけた体内の薬の濃度が乱れて、治療の計画が立て直しにくくなったりする可能性があります。

特に副作用がつらい場合、やめたくなる気持ちもあるかと思いますが、まずは医師に相談するようにしましょう

もし治療を終了する場合も、体の状態を見ながら安全に減らしていく必要があるため、お薬の量や飲み方を変えたいと思った時は、必ず医師の指示に従ってください。

血圧や脈の変化、肝機能の異常に注意する

アトモキセチン錠の服用中は、体調の変化に注意する必要があります

主な副作用として、血圧の上昇や脈拍数の増加(動悸)が挙げられます。もともと高血圧や心臓に不安がある人はもちろんですが、そうでない人も、服用中は定期的に血圧や脈を測定するようにしましょう

また、頻度は非常にまれとされていますが、重い副作用として肝機能障害に罹る可能性もゼロではありません。

このような体調の異変を感じた場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

副作用が出たら医師に相談する

服用して吐き気や眠気などを感じると、「これくらいの副作用は我慢するもの」と思ってしまうかもしれません。また、初めて飲むお薬で予期せぬ体調の変化が起きると、それだけで大きな不安を感じることもあるでしょう。

しかし、たとえ軽い症状であっても、それが続くことで生活の質が下がってしまうのは、治療の上で決して望ましいことではありません。

我慢せずに医師に相談すれば、例えばお薬の量を調整する・飲むタイミングを変更する・あるいは副作用を和らげる別のお薬を処方してもらうなど、対処法が見つかるケースが多いです。

はなせる薬局 薬剤師

気になる症状や不安な点が少しでもあれば、医師や薬剤師に伝える習慣をつけましょう。

アトモキセチン錠を服用できない方

以下に該当する方は、アトモキセチン錠の服用を避けるべきです。禁忌とされています。

・過去にアトモキセチン錠の成分でアレルギー(発疹、かゆみ、腫れなど)を起こしたことがある方
・MAO阻害剤(うつ病やパーキンソン病の治療に使われる一部のお薬)を飲んでいる、または飲むのをやめてから2週間以内の方
・重い心臓病や血管の病気(重篤な高血圧、心不全、不整脈など)を持っている方
・褐色細胞腫(血圧を急激に上げるホルモンが作られる病気)の方、または過去にこの病気にかかったことがある方
・特定の緑内障(閉塞隅角緑内障)と診断されている方

また、以下に該当する方も、アトモキセチン錠の服用を避けた方が良い場合があります

・肝臓の機能が低下している(肝機能障害)と指摘されている方
・腎臓の機能が低下している(腎機能障害)と指摘されている方
・双極性障害(躁うつ病)や他の精神疾患(精神病性障害など)の治療中である方
・立ちくらみ(起立性低血圧)を起こしやすい体質の方
・排尿に関する症状に日頃から悩んでいる方

これらの特徴が当てはまる場合は、必ず医師に伝えてください。

アトモキセチン錠に関するよくある質問

ここでは、アトモキセチン錠について、多くの方が疑問に思ったり、不安に感じたりする点についてお答えしていきます。

アトモキセチン錠を普通の人が飲むとどうなる?

アトモキセチン錠は、ADHDの特性に基づいて処方されるお薬です。そのため、ADHDの症状がない人が、勉強や仕事の効率を上げるなどのために使うことは想定されていません

ADHDではない人が服用しても、不注意や多動性の改善といった効果が得られる可能性は低いです。むしろ吐き気や頭痛、眠気、血圧の上昇といった副作用だけを強く感じてしまうリスクがあります。

医師の診断と処方なしに服用することは、健康を害する恐れがありリスクが大きいため、控えましょう。

アトモキセチン錠に依存性はある?

お薬を飲み続けることによる依存性を心配される方も多いですが、アトモキセチン錠は依存性や乱用のリスクが低いお薬とされています

ADHD治療薬には「中枢刺激薬」と「非中枢刺激薬」の2種類があり、アトモキセチン錠は後者の「非中枢刺激薬」に分類されます。

中枢刺激薬とは異なり、脳の覚醒を直接高める作用はほとんどないため、やめられなくなるといった依存を形成する可能性は低いでしょう。

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ただし、依存性の心配が少ないからといって、自己判断で中断して良いわけではありません。医師の指示通りに進めるようにしましょう。

アトモキセチン錠を飲むと太る?

「お薬の副作用で太るのではないか」と心配されるかもしれませんが、アトモキセチン錠の副作用としては、体重増加よりもむしろ逆の傾向が見られます

特に飲み始めの時期は、副作用として食欲不振や吐き気といった消化器系の症状が出やすくなる場合があるため、食事の量が減り、体重が減少する可能性があるのです。

多くの場合は、お薬に体が慣れてくるにつれて食欲も元に戻っていくとされます。もし食欲不振が長く続いて体重が減りすぎる場合や、逆に体重が著しく増えるなど、気になる変化があれば医師に相談しましょう。

アトモキセチン錠とコンサータの違いは?

アトモキセチン錠とコンサータはどちらもADHDの治療に用いられるお薬ですが、お薬の種類と作用の仕方が根本的に異なります

まず、アトモキセチン錠は「非中枢刺激薬」、コンサータは「中枢刺激薬」に分類され、最も大きな違いは、効果の現れ方と持続時間です。

コンサータは比較的即効性があり、服用したその日から効果が感じられやすい一方で、効果が切れるのも早いです。アトモキセチン錠は、効果が安定するまでに数週間と時間がかかりますが、24時間にわたってじわじわと効果が持続するとされています。

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また、アトモキセチン錠は依存のリスクが低いという点も大きな特徴です。

アトモキセチン錠はどれくらいの期間飲み続けるもの?

服用期間は、その人の症状の程度や、治療によってどの程度改善されているかによって大きく異なります。

具体的には、お薬の服用で症状が安定している間に集中しやすい環境を整えたり、物事を忘れないための工夫を身につけたりすることが、治療の重要な目標の一つとなります。

そのため、数ヶ月で改善が見られる場合もあれば、数年単位で服用を続けるケースも少なくありません

したがって、どのくらいの期間続けるか、いつ減量や中止を試みるかは、定期的に医師と話し合いながら決めていくことになります。

まとめ|アトモキセチン錠がどんな薬か理解しよう

アトモキセチン錠は、ADHDの症状緩和が期待される非中枢刺激薬であり、効果が安定するまで時間がかかるものの、依存のリスクが極めて低いお薬であるとされています

しかし、初めて飲むお薬に対して不安を感じたり、副作用を心配したりするのは当然のことです。大切なのは、その不安や疑問をご自身で抱え込まず、処方した医師や薬剤師に率直に相談することです。

ご自身の体調や特性に合った治療法か、納得いくまで医師と話し合い、治療の第一歩を踏み出しましょう。

お薬の不安は薬局や薬剤師へのご相談もおすすめです。
はなせる薬局は待ち時間なしでスマホから服薬指導を受けれるサービスです。

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参考
アトモキセチン錠添付文書
アトモキセチン錠お薬のしおり

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