気分の落ち込みや不安感、睡眠に関する悩みなどを抱えており、精神科や心療内科を受診した方いるのではないでしょうか。
「この先本当に良くなるの?」「副作用が心配で薬を飲むのが怖い…」「医師の言うことが正しいか気になる」などの不安を抱いている人も少なくないはずです。
そこで、本記事では、「症状・薬・生活習慣と向き合い」寛解を目指すための、精神科・心療内科の治療に関してまとめました。治療開始後に心がけるべきことや、処方薬との上手な付き合い方などを解説します。
ぜひ参考にしてください。
【治療のゴールについて】
治療のゴールは、「病気が完全に消滅する」完治だけではありません。症状が落ち着き、日常生活や仕事、趣味を安心して楽しめる「寛解」を目指すことが大切です。
治療する上で重要なのは、「再発のサインを自分で認識し、上手に自分の心身の健康を保ち、生活を調整できるようになる」という部分にもあります。
精神科・心療内科の治療開始後に心がけるべきこと
精神科・心療内科の治療開始後に心がけるべきことを4つ紹介します。受診を続けるのに不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

精神科・心療内科での治療は必要以上に身構えなくてOK
精神科や心療内科に抵抗感がある方も多いと思いますが、精神科・心療内科は、心の不調を専門的に診てもらう場所になります。
体の不調で専門医にかかるのと同じで、心の不調を診てもらう場所と捉えましょう。必要以上に特別な場所と身構える必要はないためご安心ください。
診断名にとらわれ過ぎないようにすること
診断名を聞くと、戸惑うかもしれません。しかし、診断名はあなた自身を定義するものではなく、治療の方向性を決めるための名称です。病名に縛られすぎず、「今の自分の状態を理解するための情報」として捉えるようにしましょう。
現在感じている症状に関しては、心と体からのサインです。自分自身がどんな状態にあるかを知るための情報として、少し客観的に見つめる視点を持つことが大切になります。
はなせる薬局 薬剤師治療には主に2つのアプローチ法があることを理解する
心の治療は、主に薬物療法と生活習慣の改善の二つで成り立っています。
- 薬物療法:脳や心のバランスを整え、辛い症状を和らげる役割。
- 非薬物療法:カウンセリング、生活習慣の改善を通じて、持続的な回復力を高める役割。
両方を並行して進めることが回復を加速させるため、まずは規則正しい生活を意識することから始めてみましょう。
うつ病と診断されていた方の多くは、食生活の面で栄養状態に課題があったと感じている方も多いというデータもあります。
【参考】うつ病と食生活に関する調査結果|Meiji Seikaファルマ株式会社調査


日々の調子や生活習慣などをメモに残しておく
次の診察をより有意義にするため、簡単な「治療メモ」を残すのも良いでしょう。以下のような情報を記録することで治療後の変化を可視化しやすいため、特におすすめです。
- 日々の調子:気分や体調を10点満点などで記録
- 具体的な行動:「午前中は布団から出られなかった」「急に不安で動けなくなった」など、事実ベースの記録。
- 睡眠時間と食欲の有無・服薬状況
精神科・心療内科の治療における「お薬」との付き合い方
精神科・心療内科の治療における「薬」との付き合い方について解説します。


薬の効果は服用してすぐに出るとは限らない
抗うつ薬や向精神病薬は、効果が出るまでに2〜4週間かかるのが一般的です。すぐに効果が出なくても、焦らないことが大切です。
まずは次の診察まで、医師の指示通りに服用することをおすすめいたします。
また、副作用は服用初期(服用開始〜2週間)に出ることがあります。効果を感じる前に副作用が出ることが多いため、薬をやめた方が良いのかな?と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
徐々に体内で薬が安定し、効果を発揮していきますので、自己判断での中止はせず、心配であれば医師や薬剤師に相談しましょう。自己判断での中止は、離脱症状を生み出してしまうことがあります。
薬の服用を自己判断で突然やめるのは危険
向精神薬や睡眠薬は、急に服用をやめてしまうと、体内で安定していた薬の濃度が急激に下がることで、不安感・不眠・めまい・頭痛などの離脱症状が出ることがあります。
そのため、中止や減量をお考えの際は、必ず医師の判断のもとで行うようにしましょう。
離脱症状を防ぐためにも、お薬の量は少しずつ調整していくことが大切です。
また、飲み忘れた分をまとめて服用するのは避けましょう。
お薬によって、飲み忘れに気づいた時点ですぐに服用する場合と、その分は服用せず次の正しいタイミングまで待つ方がよい場合があります。薬剤師や次回受診時に医師に相談してみてください。
薬に関する不安は医師や薬剤師に相談しましょう
「副作用が心配」「翌日の眠気が強くて辛い」「他の薬との飲み合わせが不安」など、薬について気になる点があれば診察時に遠慮なく伝えましょう。症状の出方や日常生活で困る場面をメモしておくと調整が進みやすいです。
市販薬やサプリ、アルコールの摂取状況も共有することを心がけてください。薬の効果や副作用には個人差があります。自己判断での増減は避け、医師と相談しながらご自身に合う用量や服用方法を見つけていきましょう。
お薬の不安は薬局や薬剤師へのご相談もおすすめです。
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薬を服用するのがどうしても不安ならセカンドオピニオンもおすすめ
主治医の方針に不安が残るときは、セカンドオピニオンとして別の専門医の意見を聞く方法もあります。主治医とは異なる見解や治療方法が示され、選択肢が広がる可能性があります。
なお、セカンドオピニオンは診療ではなく相談として扱われ、原則として健康保険の適用外となるため、ご注意ください。
回復を助ける生活習慣と環境づくり
辛い症状を軽減して回復に導くためには、生活習慣と環境づくりも大切です。3つのポイントとNG行動について解説します。
生活リズムを整えるための3つのポイント
生活リズムを整えるためには、以下のポイントを意識して生活リズムを整えましょう。
- 休息と睡眠
休息と睡眠は最優先事項です。まずは、規則正しい睡眠リズムを整えることが、心の安定に直結するため、無理せず休むことを意識するようにしましょう。
- 食事と栄養
脳の材料となるタンパク質や、心の安定に関わるビタミン類を意識的に摂るなど、無理のない範囲で食事を見直しましょう。
- 適度な運動
日光を浴びながらの散歩など、心身に負担の少ない運動は、気分転換や良質な睡眠につながります。
回復のためには周囲の優しさを借りることも大切です。家族や職場の信頼できる人に、「休養が必要な状態である」という状況を伝え、協力を求めることも有効になります。
辛くなる前に、近い人に「助けを求める」行動は、決して弱さではなく、未来を見据えた強さであると捉えるようにしましょう。
精神科・心療内科での治療中におけるNG行動
精神科・心療内科での治療中におけるNG行動は、薬を自己判断で減量・中断したり、飲み忘れをまとめて服用することです。
睡眠薬や向精神薬とアルコールの併用も避けましょう。記憶障害・ふらつき・以上行動・睡眠の質低下などの原因となります。また、自己判断での市販薬やサプリメントの追加も、場合によっては副作用が起こりやすくなることがあります。
副作用を隠したり、受診を先延ばしにすると回復が遅れてしまうため注意しましょう。
薬を飲まない期間ができてしまうと、体内の薬の濃度が安定しづらくなります。本来の効果を感じられなくなることがあるため、定期的な受診を心がけましょう。
精神科・治療薬に関するよくある質問
ここでは、精神科・治療薬に関するよくある質問に回答します。
副作用が怖いです、人格が変わってしまうとかはありませんか?
薬は、乱れてしまった心や体のバランスを「本来のあなたの状態」に近づける手助けをするもので、人格を変えてしまうようなものではありません。
眠気などの副作用が現れることがありますが、これは体が慣れるまでの一時的な反応である場合も多く見られます。医師や薬剤師と相談しながら、お薬との付き合い方を少しずつ整えていくことが大切です。
もし、お薬の副作用が出たときはどうすればいい?
「副作用が出たかも」と感じたら、自己判断で中止せず、まず処方した医師や薬剤師に連絡しましょう。
症状の出た日時・症状の強さ・飲んだ薬の名前と量・併用している市販薬やサプリ・飲酒の有無をメモして伝えると効率的です。
息苦しさ・強い発疹・意識障害などの重い症状がある場合は救急受診も検討しましょう。
薬に依存してしまうことはないでしょうか?
抗うつ薬や向精神薬は、医師の指示通りに服用すれば依存性がほとんどありません。薬への不安は、次回の診察で遠慮せず医師にお伝えください。
通院をやめたいのですが、判断基準はありますか?
通院をやめるかは、症状が安定し日常生活を無理なく送れているかを確認したうえで、主治医と計画的に決めます。
うつ病は寛解後もしばらく維持療法が推奨されており、薬は急にやめず段階的に減らしていきます。不眠症でも同様に、睡眠衛生などの行動療法と併用しつつ、再発サインと対処法を共有してから受診間隔を徐々に伸ばすと安心です。



まとめ
治療の道のりは、長く感じるかもしれません。回復のペースは人それぞれのため、他の人と比べたり、焦ったりする必要は全くありません。
薬の服用、再診の継続、日々の生活習慣の小さな改善の一つ一つが、病気から自分自身を取り戻すための行動に繋がります。
加えて、あなたは一人ではありません。医師は心の状態を理解し、最善の道を探るためのパートナーになります。どうか、焦らず一歩ずつ進んでいきましょう。
お薬の不安は薬局や薬剤師へのご相談もおすすめです。
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