「イライラや怒りっぽさが続いてつらい…」
「ツムラ抑肝散はどんな症状に使われる漢方なの?」
「認知症の不安や興奮にも効くと聞いたけれど、実際はどうなんだろう」
こうした不安や疑問を抱えている方に向けて、本記事ではツムラ抑肝散の特徴や、期待できる作用をわかりやすく解説します。
基本的な飲み方や注意したい副作用など、服用前に知っておきたいポイントを丁寧にまとめました。漢方薬についての理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
お薬の不安は薬局や薬剤師へのご相談もおすすめです。
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ツムラ抑肝散とは
ツムラ抑肝散は、イライラや怒りっぽさ、興奮、不安感、睡眠の質の乱れなどを和らげる目的で使われる漢方薬です。
釣藤鈎・柴胡・当帰・茯苓など七つの生薬から構成され、神経の高ぶりをおだやかに整えることで、感情のコントロールや寝つきの悪さの改善が期待されます。
もともと小児の疳の虫に使われてきた処方ですが、現在では大人のストレス関連の不調や、認知症に伴う興奮・不安などに処方されることもあります。
はなせる薬局 薬剤師病院で処方される医療用のほか、薬局で購入できる一般用漢方もありますが、長期間の服用や他の薬を併用している場合は、必ず医師や薬剤師に相談しながら使うことが大切です。
ツムラ抑肝散に期待できる効果
ツムラ抑肝散に期待できる効果を5つ紹介します。詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
イライラ・怒りっぽさが落ち着く
ツムラ抑肝散は、神経の高ぶりをしずめて気持ちの波をなだらかにすることをねらった漢方薬です。
もともと子どもの夜泣きや興奮に使われてきた処方で、大人でも怒りっぽさや感情のコントロールがしにくい人に用いられることがあります。
ストレスが重なってささいなことでイライラしやすい、寝る前になると気持ちが高ぶってしまう、といった場面で症状の改善が期待されます。
不安感や緊張が和らぐ
不安感や精神的な緊張を和らげる目的でツムラ抑肝散が用いられることもあります。
ストレスや環境の変化がきっかけで、落ち着かずソワソワする、夜になると不安が強まって眠りにくい、といった症状に処方される場合があります。
神経の高ぶりをおさえ、気持ちの行き過ぎた反応を和らげることで、不安によるイライラやこわばりの軽減が期待されています。人によっては、少しずつ気持ちが落ち着き、日常生活での不安に対処しやすくなることもあります。
睡眠の質が整う
ツムラ抑肝散は、直接「眠くする」タイプの睡眠薬ではありませんが、神経の高ぶりをしずめることで、結果的に眠りやすさの改善が期待できる漢方です。
寝る前になるとイライラして考え事が止まらない、気持ちが高ぶって布団に入ってもなかなか寝つけない、といったタイプの不眠に用いられることがあります。



ストレスや不安が強く、浅い眠りや途中で何度も目が覚めてしまう場合でも、精神的な緊張がやわらぐことで、睡眠のリズムが整う人もいます。
認知症の周辺症状である興奮・不安が軽減する
ツムラ抑肝散は、認知症そのものを治す薬ではありませんが、認知症の周辺症状とよばれる興奮や怒りっぽさ、不安などを和らげる目的で使われることがあります。
大きな声を出してしまう、ささいな刺激で怒りやすい、落ち着かず歩き回ってしまう、といった状態が少しおだやかになることで、本人の生活のしやすさや、介護する家族の負担が軽くなることが期待されています。
神経の高ぶりをしずめ、過度な刺激に反応しやすい状態を落ち着かせることで、気持ちの切り替えがしやすくなる人もいます。
子どもの夜泣きや歯ぎしりなどが改善する
ツムラ抑肝散は、古くから小児の「疳の虫」とよばれる情緒不安定に用いられてきた漢方です。神経が高ぶりやすく、ちょっとした刺激でぐずったり興奮してしまう子どもに処方されることがあります。
具体的には、夜泣きが続く、寝つきが悪い、眠っていても歯ぎしりが目立つ、といった症状の改善が期待されます。
子どもの神経の過度な緊張をしずめ、気持ちや睡眠リズムを整えることで、結果として夜間の不調が落ち着くケースもあります。
ツムラ抑肝散の基本的な飲み方
ツムラ抑肝散の基本的な飲み方として、服用する頻度やタイミング、飲み忘れた際にすべきことを解説します。
1日3回で処方されることが多い
ツムラ抑肝散の内服は、一般に1日3回に分けて処方されることが多いです。1日の必要量を3回に分けて服用することで、神経の高ぶりを一定に抑えやすくなります。
一方で、症状の度合いや年齢、体格などによって調整されます。そのため、1日2回での服用となる場合や、症状が特に強いときだけ飲む頓服(とんぷく)として処方される場合もあります。
自己判断で回数を減らしたり、一度にまとめて飲んだりすると、十分な効果が得られなかったり、副作用のリスクが高まるおそれがあります。必ず医師や薬剤師から指示された回数と量を守りましょう。
食前または食間の服用が推奨される
ツムラ抑肝散を含む漢方薬は、一般的に空腹時の方が成分を吸収しやすいとされるため、食前または食間での服用が勧められます。食前は食事の約30分前、食間は食後2〜3時間ほど空いたタイミングを指します。
ただし、胃腸が弱い人では、空腹時に飲むと胃もたれや気持ち悪さが出ることがあり、その場合は医師の判断で食後に変更されることもあります。



なお、毎回ばらばらのタイミングで飲むよりも、できるだけ同じ時間帯に服用した方が、効果が安定しやすいと考えられています。
飲み忘れた場合の対処法
ツムラ抑肝散の飲み忘れに気づいたときは、気づいた時点で1回分だけ服用するのが基本です。
ただし、次の服用時間が近い場合は、忘れた分は無理に飲まず、その回はスキップして、次からふだん通りの時間に飲むようにします。2回分をまとめて服用すると、思わぬ副作用につながるおそれがあるため避けてください。
飲み忘れが続くと十分な効果が得られにくくなるため、服用時間をメモしておく、アラームを使うなどの工夫も役立ちます。
ツムラ抑肝散の副作用
ツムラ抑肝散は比較的安全性の高い漢方薬ですが、体質によっては以下の副作用が確認されています。
| 生じる恐れがある副作用 | 症状の特徴 |
| 消化器症状(食欲不振・胃部不快感・悪心・下痢など) | 食欲がない、胃がムカムカする、気持ち悪い、下痢が続く |
| 発疹・かゆみなどの過敏症 | 皮膚の赤み、ぶつぶつ、全身または一部のかゆみ |
| 眠気・傾眠 | 日中の強い眠気、ぼんやりする、集中しづらい |
| 偽アルドステロン症 | 手足のむくみ、体重増加、だるさ、血圧が高くなる、こむら返りが起こるなど |
| ミオパチー・横紋筋融解症 | 筋力低下、力が入らない、筋肉痛、手足のしびれ、尿の色が濃くなるなど |
| 心不全 | 少し動いただけで息切れする、疲れやすい、足のむくみ、急な体重増加 |
| 肝機能障害・黄疸 | だるさ、食欲不振、吐き気、皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなる |
| 間質性肺炎 | 階段などで強い息切れや息苦しさ、空せき、発熱が続く |
副作用と疑われる症状が出た場合は、独断で中断したり隠したりせず、医師に申告しましょう。メモ帳などに記録をつけておくのもおすすめです。
お薬の不安は薬局や薬剤師へのご相談もおすすめです。
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ツムラ抑肝散に関する注意点
高血圧や腎臓病などの持病がある人は必ず医師に伝える
ツムラ抑肝散には、血圧や体のむくみに影響する可能性のある生薬が含まれているため、高血圧や心臓病、腎臓病などの持病がある人は、必ず事前に医師へ伝えることが大切です。
持病の状態や現在使っている薬との飲み合わせによっては、用量を調整したり、別の漢方薬や西洋薬に切り替えた方が安全な場合があります。
また、健康診断で血圧や腎機能、心電図などに異常を指摘されたことがある人も、その結果を分かる範囲で伝えておくと安心です。
ほかの甘草含有製剤との併用には注意が必要
ツムラ抑肝散には甘草という生薬が含まれており、同じく甘草を成分とする漢方薬や市販薬と重ねて飲むと、副作用のリスクが高まるおそれがあります。
特に、むくみやだるさ、血圧の変化、血液中のカリウム低下などが起こることが知られているため注意が必要です。
処方薬だけでなく、市販の風邪薬や胃腸薬、漢方薬、サプリメントなどを飲んでいる場合も、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。



併用が必要なときは、重ならない薬を選んだり、量や期間を調整したうえで処方されます。
偽アルドステロン症など重大な副作用が疑われる症状に注意する
ツムラ抑肝散に含まれる甘草などの影響で、ごくまれに偽アルドステロン症などの重大な副作用が起こることがあります。手足や顔のむくみ、急な体重増加、体のだるさが続く場合は注意が必要です。
また、力が入りにくい、こむら返りが増える、動くと息切れが強いといった症状も、血液中のカリウム低下などのサインの可能性があります。
こうした「いつもと違う」体調不良が数日以上続く、または急に症状が強くなったときは、服用中の薬を持参して速やかに医療機関を受診しましょう。
自己判断で増量・減量したり急に服用を中止したりしない
ツムラ抑肝散は、症状や体質に合わせて医師が量や回数を決めているため、自己判断で増量・減量するのは危険です。効果を早く感じたいからといって処方量以上を飲むと、むくみやだるさなど副作用のリスクが高まります。
反対に、調子が良くなってきたからと急に中止すると、イライラや不安、睡眠の不調などがぶり返すこともあります。
仕事や生活の変化で「量を減らしたい」「一度やめて様子を見たい」と感じたときも、自分で判断せず、まずは医師に相談することが大切です。
ツムラ抑肝散を服用できない方
以下に該当する場合は、原則としてツムラ抑肝散を服用できません。
- 甘草(かんぞう)に対して過敏症・アレルギーのある方
- 抑肝散の構成生薬にアレルギー歴がある方
- 重度の低カリウム血症がある方
また、以下に当てはまる場合も、医師の判断によって服用を避けたり、慎重に判断したりします。
- 高血圧、心臓病、腎臓病などの持病がある方(甘草による電解質異常や浮腫が悪化する可能性があるため)
- 肝臓の病気で治療中の方
- むくみが出やすい、または過去に偽アルドステロン症を起こしたことがある方
- 他に甘草を含む漢方薬・市販薬を使用している方
- 利尿薬、ステロイド薬、デジタリス製剤などを服用中の方(相互作用により電解質異常などのリスクが高まるため)
- 妊娠中または授乳中の方(体調変化により副作用のリスクが高くなる可能性があるため)
- 小児に使用する場合(体格や症状に応じた慎重な量の調整が必要)
ツムラ抑肝散を服用して問題がないか不安な場合は、医師に尋ねて判断して貰いましょう。
ツムラ抑肝散に関するよくある質問
ここでは、ツムラ抑肝散に関するよくある質問に回答します。目を通すことで、安心した状態でツムラ抑肝散を服用できるでしょう。
ツムラ抑肝散は飲んですぐに効果が出ますか?
主に興奮やイライラなど、急な高ぶりを鎮める作用については、比較的早く実感できることがあります。早い方では数十分程度で「気持ちが落ち着いてきた」「イライラが緩和された」と感じることがあります。
また数日〜1週間ほどで「夜間の寝つきが楽になった」「イライラしにくくなった」といった変化を感じる場合があります。
※ そのため、「頓服薬」として処方されることもあります。
一方で、気分の安定や睡眠リズムの改善など、はっきりした効果を実感するまでには数週間程度かかることも少なくありません。
体質や症状、併用している薬によって効果のあらわれ方には個人差があるため、周囲と比べすぎないことも大切です。
ツムラ抑肝散はどのくらいの期間飲み続けますか?
ツムラ抑肝散を飲み続ける期間は、症状の重さや原因、ほかの薬との組み合わせ、体質などによって大きく異なります。数週間で様子を見るケースもあれば、状態の安定を目指して数か月単位で処方されることもあります。
症状が落ち着いてきた場合でも、自己判断で急に中止すると、不安やイライラ、睡眠の不調などがぶり返すおそれがあります。



飲む量や回数を減らしたいと感じたときは、必ず主治医と相談しながら、少しずつ調整していくことが大切です。
ツムラ抑肝散とほかの薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?
ツムラ抑肝散は、ほかの薬と一緒に使われることも多い漢方ですが、組み合わせによっては注意が必要です。
とくに、甘草を含む別の漢方薬や市販薬、利尿薬、ステロイド薬などと併用すると、電解質異常やむくみ、血圧の変化などの副作用リスクが高まる場合があります。
また、一見関係なさそうなサプリメントや健康食品が影響することもゼロではありません。すでに服用している処方薬、市販薬、サプリは、名前がうろ覚えでもかまわないので、できるだけもれなく医師や薬剤師に伝えることが大切です。
ツムラ抑肝散に依存するリスクはありますか?
ツムラ抑肝散は、いわゆる睡眠薬や抗不安薬のように、依存性が高い薬とはされていません。飲み続けることで「やめられなくなる」というタイプの薬ではなく、症状や体質に合わせて調整しながら使う漢方です。
とはいえ「飲まないと不安」「もっと効かせたい」と感じて、自分の判断で量を増やしたり、指示より多く飲むのは危険です。
また、調子が良くなってきたからといって、急に中止するとイライラや不安、睡眠リズムの乱れなどがぶり返すことがあります。減量や中止を考えるときは、必ず主治医と相談し、段階的に調整してもらいましょう。
ツムラ抑肝散を飲むと太りますか?
ツムラ抑肝散そのものが、直接脂肪を増やすタイプの「太る薬」と考えられているわけではありません。
ただし、服用によってイライラや不安が和らぎ、睡眠が整うことで食欲が戻り、結果として体重が増える人はいます。この場合は、体調が回復してきたサインとしての体重増加という見方もできます。
一方で、手足や顔のむくみが強くなったり、短期間で急に体重が増える場合は、偽アルドステロン症などの副作用が関係している可能性もあります。



体重の増え方が気になるときは、食事量や運動だけの問題と決めつけず、服用中の薬の影響も含めて医師に相談するのがおすすめです。
まとめ|ツムラ抑肝散がどんな薬か理解しよう
ツムラ抑肝散は、イライラや怒りっぽさ、不安感、眠りの浅さなどの神経症状を和らげるために用いられる漢方薬です。認知症に伴う興奮や不安、子どもの疳の虫といった幅広い症状の改善が期待されます。
通常は1日2回または3回に分けて服用し、用量は年齢や体格、症状に合わせて医師が調整します。自己判断で増減せず、疑問や不安があれば主治医や薬剤師と話し合いながら、安心して治療を続けていきましょう。
ぜひ、本記事の内容を参考にして、ツムラ抑肝散がどんな薬か理解を深めてください。
お薬の不安は薬局や薬剤師へのご相談もおすすめです。
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